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コラム

ビジネスリサーチラボのオーダーメイド型サーベイの強み

コラム

ビジネスリサーチラボ(以降、当社)は、人事部門のプロフェッショナルを対象に、オーダーメイド型の組織サーベイを提供しています。組織サーベイは、社内の状況を理解するための有力な手段であり、その提供はさまざまな企業によって行われています。

ただし、オーダーメイド型のサービスを提供している企業は少なく、当社のような企業はむしろ珍しい存在と言えます。

とはいえ、オーダーメイド型のサービスを提供する企業がないわけではありません。このコラムの目的は、当社がどのような「強み」を持っているのかを整理することです。

基本的に当社はコンペティションに参加しておらず、専門性と強みを事前にクライアントに知っていただき、その価値を感じた上で選んでいただいています[1]

当社の強みはいくつかの観点から考えることができます。今回は序盤で全般的な特徴に触れ、中盤では組織サーベイのプロセスに沿った強みを取り上げ、終盤ではクライアントとの関係をめぐる強みについて言及します。

※参考:【人事向けサービス】オーダーメイド型組織サーベイ(従業員調査)(当社サービスページ)

確かな専門性

まず、当社が提供するオーダーメイド型の組織サーベイの強みとして、「確かな専門性」を挙げることができます。

当社は、組織サーベイに求められる深い知識を有する人材を採用しています。採用過程では厳しい選考課題が設けられ、一定の能力を持つ人材のみが通過できるようになっています。

当社のフェローは人事研究の知識、調査設計力、分析技術、心理尺度を扱うノウハウを持っています[2]。そして、OJTOn the Job Training)やOff-JTOff the Job Training)の機会を通じて、知識を継続的に向上させています。

当社の専門性が評価されている典型的な証拠として、HR事業者から組織サーベイの開発を依頼されていることがあります[3]

HR事業者は、人事部門をクライアントとする企業であり、理論上は当社の競争相手となり得ます。それにもかかわらず、HR事業者から依頼を受けるという事実は、当社の専門性が高く評価されていることを示していると言えるでしょう。

豊富な実績

当社は、創業以来、オーダーメイド型の組織サーベイのサービスを提供し続けてきました。各社の特定の状況に基づいたサービスを十数年にわたり提供し、多くの企業をサポートしてきた実績を持っています[4]

大企業が多数を占めているものの、中小企業に対する支援も実施してきています。これほどまでに多数のオーダーメイド型の組織サーベイを実行したことのある企業は、稀であると言えます。

オーダーメイド型は各社で内容が異なりますが、何度も経験を重ねることにより、その勘所や本質を押さえることができるようになりました。

成果指標の検討

さらに、当社の強みの一つとして、組織サーベイにおける成果指標の検討があります。

組織サーベイを実施する際に測定すべき指標として、成果指標があります。成果指標とは、人や組織が目指すべき状態を表す指標で、ゴールのようなものです。

成果指標に正解はありません。各社が組織サーベイごとに、自社なりの成果指標を定義しなければなりません。しかし、成果指標を考えるのは簡単ではなく、流行に流されて適当に定めると、後で苦労することになります。

そこで当社では、オーダーメイド型の組織サーベイの一部として、クライアントと一緒に成果指標を検討しています。数多くの組織サーベイを実践する中で、成果指標をうまく定義し、社内での合意を得るためのノウハウを蓄積してきました[5]

影響指標の候補挙げ

当社は、組織サーベイにおける「影響指標」を挙げることに長けています。

影響指標は、組織サーベイを実施する上で重要で、測定すべき指標です。具体的には、成果指標を促進または阻害する要因を指します[6]

影響指標の候補を挙げるという課題は、一見単純に見えるかもしれません。しかし、実際には非常に困難な作業です。

たとえば、社員のエンゲージメントを向上させる要因を15個挙げることが求められたとします。すぐに答えられるでしょうか。簡単なことではありません。

学術研究から得られた知識、実践経験からの知識、過去のサーベイからの知識、これらすべてが影響指標の候補を挙げる上で必要となります。

当社はこれらの知識を十分に保有しており、それによって、どのような成果指標に対しても影響指標を円滑に挙げることが可能です。

※影響指標の候補の挙げ方についての基本を、コラム「組織サーベイの効果を引き上げる 影響指標の設定方法とチェックポイント」にまとめています。

質問項目の設計

成果指標と影響指標を確定したら、次のステップは質問項目の作成です。これも容易な作業ではありません。

適切な質問項目が作成できなければ、組織サーベイの精度が低下し、目的とする分析を実行できない場合があります。実際、当社は質問項目のコンサルティングを依頼されるケースもあります。

質問項目の作成は専門性が求められ、例えば、信頼性、妥当性、公平性を担保する必要があります[7]。暗黙的なノウハウも多分に動員します。

当社は、質問項目の作成に必要な知識と技術を持つ人材を採用しており、様々な機会を通じてその能力を磨いています。

当社が作成する質問項目は、HR事業者の展開するパッケージ型の組織サーベイに搭載されていることもあります。要するに、商品として販売できるレベルの質問項目を作成できるということです。

回収時のノウハウ

質問項目の作成が終わったら、次はアンケートの回収です。これも慣れないと、十分な量と質の回答を得られず、良質な回答データを得られないこともあります。

当社はそれぞれの企業の背景を考慮し、適切な回収方法を提案しています。社員が前向きに回答することは、分析結果を元にした対策を打つためのエネルギーを生み出します。

アンケートの回収は一つの作業にすぎないと考える人もいるのですが、組織サーベイのプロセスにおいては社員との重要な接点であり、決して軽視すべきではありません。

最適な分析選択

社員から得られた回答データを意味あるものにするために、目的に合った分析手法の選択が必要です。

世の中には多くの分析方法が存在します。それぞれの手法の内容、長所と短所、さらには、その適用範囲を理解することが求められます。

一部のオーダーメイド型の組織サーベイでは、記述統計のグラフ表示だけで終わるものがあります。これらは、情報を分かりやすく視覚化するための手段であり、数値を確認し、その実態を浮き彫りにするために重要です。

しかし、当社では統計分析もあわせて行うようにしています。もちろん、統計分析は万能ではなく、正解を導き出すものではありませんが、誤りの可能性を少しでも減らすことができます。

組織サーベイを通じて講じられる対策は、社員の職業人生に影響を与える可能性があります。組織サーベイを支援する当社も、それを実施する人事部門も、誤りを避ける努力をしなければなりません。これは職業倫理の問題と言えるでしょう。

当社は、心理学、経済学、社会学、経営学などの社会科学分野の大学院でトレーニングを積んだ人材を抱えています。さらに、分析技術を高めるために社内で勉強会を開催しています[8]

高度な分析スキル

組織サーベイの回答データを分析する際に大切なのは、目的に応じて適切な手法を選ぶことです。むやみやたらに高度な分析手法を使用すれば良いというわけではありません。

とはいえ、時と場合によっては高度な分析が求められることもあります。そのような状況で分析を実行できないと、目的に合った分析ができません。

したがって、オーダーメイド型の組織サーベイでより高い品質を求めるためには、高度な分析について理解しておかなければなりません。

当社には、高度な分析を行う能力を持ったフェローがいます。それにより分析の幅が広がり、有益な結果を導き出すことが可能になっています[9]

対策につながる結果

分析が終わったところで組織サーベイは終了するわけではありません。その結果を踏まえて具体的な対策を考え、それを実行することによって初めて、組織サーベイを行った意義があります。

ところが、当社の知る限りでは、結果を具体的な対策につなげられず、現状理解にとどまる組織サーベイが少なくないのが現実です。

一方、当社では、対策につながる組織サーベイを実施することを目指しており、そのための工夫を各所で凝らしています[10]

例えば、サーベイ設計の段階から、対策を検討できるか否かという観点から影響指標の候補を選んでいます。さらに、データ分析を行う際には、成果指標に関連する影響指標を抽出し、その関連度を検証することで対策の優先度を評価しています。

また、重要性の高い影響指標については属性比較を行い、対策のターゲットを定めるようにしています。これらの取り組みにより、組織サーベイから行動計画を作ることができます[11]

分かりやすい報告

当社がどんなに目的に合った分析を行い、専門性を発揮したとしても、分析結果をわかりやすくクライアントに伝えることができなければ、組織サーベイの効果を最大限に引き出すことはできません。

当社では、分析結果のフィードバックに力を入れています。現在の状況が理想とする状態に近いのか遠いのか、少しでもその状態に近づくために何をすれば良いか、特にどの層に対してどのような施策を講じるべきかなどを資料にまとめ、口頭でのフィードバックも行っています[12]

これにより、クライアントはより組織サーベイの分析結果に加え、対策案も考えることができます。

顧客への寄り添い

オーダーメイド型の組織サーベイの醍醐味は、それぞれの会社の状況に合わせられることです。当社は、クライアントの組織全体がどのような状況にあるか、その中で人事がどのような位置にいて、どのような役割を担っているか、現場で何が起こっているかといったことを丁寧にヒアリングしています。

組織サーベイは基本的に事前に立てた仮説を検証するものです。そのため、仮説の精度が重要になります。当社とクライアントとの信頼関係とコミュニケーションが鍵を握ります。

当社は自分たちが尊敬できるクライアントと共にプロジェクトを進めています。ありがたいことに、当社もクライアントからリスペクトをいただいており、そうした関係の中で組織サーベイを行えています。

顧客の成長に寄与

組織サーベイの専門性は時に高度で、一定の積み上げが必要なものも存在します。しかし、当社はクライアントが組織サーベイの実施プロセスを通じて、設計、分析、報告に関する知識を得られるように努めています。

当社の組織サーベイは、クライアントの担当者にとっても学びの機会となるのです[13]。クライアントが組織サーベイに関する知識を深めることで、より精度の高い組織サーベイを実行できるようになります。

 

当社のオーダーメイド型の組織サーベイには、クライアントに対する人材育成機能も備わっていると言えます。

以上、このコラムでは、当社のオーダーメイド型の組織サーベイには、どのような強みがあるのかを述べてきました。全部で12個の強みを挙げました。当社とより有益な組織サーベイを行う際の参考にしていただけると幸甚です。

 

脚注

[1] 当社がお問い合わせをいただいてからプロジェクトを開始するに至るまでの流れについては、コラム「プロジェクトの始まり方:取引に至るまでの流れ」が参考になります。

[2] 当社に在籍するフェローはフェローご紹介をご覧ください。

[3] HR事業者向けのサービスの詳細は【HR事業者向けサービス】商品開発支援(各種診断・適性検査)をご覧ください。

[4] 例えば、アサヒプロマネジメント社の事例を当社ウェブサイトで公開しています。

[5] 成果指標を定める際に注意すべき基本事項については、コラム「良い成果指標を定めるための4つのステップ」を参照してください。

[6] 成果指標と影響指標の詳細については、コラム「人事のための組織サーベイ入門:従業員の心理を可視化し、データ分析に基づいて意思決定する方法」が参考になるでしょう。

[7] 少し専門的な内容も含みますが、質問項目の作成に当たって知っておくと良い知識をまとめたコラムとして、「心理尺度の作り方・考え方:組織サーベイの質問項目作成のポイント」があります。

[8] 当社では、統計分析の手法については様々なコラムを公開しています。コラム「人事のためのデータ分析入門:「統計的に有意」とは何か(セミナーレポート)」はその一例です。

[9] 高度な分析の例として、潜在差得点モデルと項目反応理論を挙げておきたいと思います。詳細は「潜在差得点モデルとは何か」「項目反応理論の基礎:組織サーベイ項目の統計学的な得点配分の性能を検証する」を参照ください。

[10] 分析結果から対策を考える際のコツをまとめたコラムがあります。

[11] 当社の分析結果のアウトプットイメージは、次のページから確認することができます。

[12] 分析結果のフィードバックの際に考慮すると良い点については、コラム「サーベイフィードバックの10の方法:従属員意識調査を対策につなげるために(セミナーレポート)」にまとめられています。

[13] ライオン社の事例「ライオン株式会社|内製型組織サーベイの設計・項目作成支援」では、社内の知識が高まることが当社のサービスの良かった点として挙げられています。

 

執筆者

伊達洋駆:株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役
神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。著書に『60分でわかる!心理的安全性 超入門』(技術評論社)や『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』(すばる舎)、『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)などがある。2022年に「日本の人事部 HRアワード2022」書籍部門 最優秀賞を受賞。

#伊達洋駆

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