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<組織サーベイの最前線>アサヒプロマネジメント株式会社:組織サーベイを通じて全社的な対策を実行

コラムプロジェクト例導入事例

アサヒビールをはじめとしたアサヒグループのシェアードサービスを担うアサヒプロマネジメント株式会社。同社では「働き方満足度を高めたい」という課題があり、現状把握を目的として組織サーベイを導入しました。ビジネスリサーチラボではアサヒプロマネジメント様に対して、2019年と2021年の2回にわたり、組織サーベイを提供しました。本コラムでは、アサヒプロマネジメント株式会社 代表取締役社長 松岡徹様と、弊社代表取締役の伊達洋駆による対談を通して、会社をより良いものにするための組織サーベイの設計・実施・対策の最先端事例を紹介します。

話し手:松岡 徹 様 アサヒプロマネジメント株式会社 代表取締役社長(写真左)

1989年アサヒビール株式会社に入社。大阪支社経理部をスタートに、本社経営企画部、財務部、グループ会社で経理業務全般に携わる。2005年より3年間、中国北京に駐在。帰国後は国際部で中国ビール事業の管理や、新規提携、事業再編などを担当。2014年よりアサヒプロマネジメント株式会社へ出向。財務企画部担当部長、経営企画部長を経て、2022年より代表取締役社長。

聞き手:伊達 洋駆 株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役(写真右)

神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。近著に『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』(すばる舎)や『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)など。

「働き方満足」を測るため組織サーベイを実施

伊達:

アサヒプロマネジメント様では2019年と2021年に組織サーベイを実施し、ビジネスリサーチラボで支援しました。弊社にご相談いただいた背景についてお聞かせください。

松岡様:

当社では2018年から働き方改革を「生産性向上改革」と命名し、総労働時間の圧縮だけでなく、仕事の中身を変え、アウトプットを向上させることを目的として取り組んでいました。

総労働時間の短縮は達成しましたが、仕事の質的な変化やアウトプットの面ではまだ十分な効果が出ていませんでした。そこで、仕事の質を向上させるためには「働き方満足」が必要という仮説を立て、それを達成するためにはどうすべきかを考え始めました。

伊達:

「働き方満足」という言葉はどのように生まれたのでしょうか。

松岡様:

自然発生的に働き方満足の追究が必要であるという話になったこと、また、同時期にアサヒグループホールディングスの小路社長(当時)が「働き方改革とは、働き方満足度をいかに高めるかが課題」と話しており、両者が相まって生まれました。

働き方改革という言葉自体に、総労働時間を短縮すればよいという風潮もあったため、それとは異なることを明確にしたかった部分もあります。

伊達:

そのうえで、組織サーベイを選択された経緯はどのようなものでしたか。

松岡様:

社員の満足度を高めるといっても漠然としており、打ち手が見えませんでした。まずは現状を社員に聞く調査が必要だという結論に至りました。

伊達:

働き方満足という人間心理を測定し、どうすればそれを高めていけるかを考えるために、組織サーベイに注目されたのですね。

その後、2021年に再び組織サーベイを実施し、こちらもビジネスリサーチラボで支援させていただきました。このときは、どのような理由で実施を決めましたか。

松岡様:

詳細は後ほど説明しますが、2019年の組織サーベイに基づき実施した施策の効果を確認するために実施しました。2年に1回ほど定点観測することで、これまでの施策が機能しているかを確認することが目的でした。

加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、中国大連への業務の大規模なBPOなどがあり、働く環境が変わってしまいました。社員の働き方やマインドに影響が出ていないか確認することが、実施を決めたもう一つの理由です。

オーダーメード型サーベイで感じたメリット

伊達:

アサヒプロマネジメント様にビジネスリサーチラボから提供させていただいたのは、「オーダーメード型」と呼ばれる組織サーベイです。

※組織サーベイは「パッケージ型」と「オーダーメード型」の二つに大別される。前者は既定の質問項目や計算式があり、手軽に導入できるのがメリットである一方、自社に関係のない質問項目が含まれるケースもある。後者は導入する企業の状況に合わせて設計するため、自社独自の課題を抽出することに長けているが、導入コストは高くなりがちである。

オーダーメード型は、サーベイ実施にあたり質問項目を設計する必要があります。設計の際には、内容の話し合いをしたり、学術研究のレビューを行ったりしました。設計プロセスで印象に残っている点はありますか。

(1) 自社の問題意識について議論できた

松岡様:

まず、当社の問題意識を伊達さんとディスカッションできた点です。すでにグループ全体で実施している組織サーベイもありましたが、そこでは測定しきれなかった当社特有の課題について、組織サーベイを設計する中でディスカッションできたのが良かったです。

伊達:

アサヒプロマネジメント様の場合、設計のディスカッションに経営層が参加してくださったのがありがたかったです。会社の課題や方向性について議論しても、経営層の考えと乖離することはありませんでした。

ディスカッションを経ることで目線合わせもできました。様々な部署を管轄される皆さんとの間で、「自分たちはどこに向かっていくべきか」「どこに課題があると思うか」についてコミュニケーションできたのは大きかったと思います。

(2) 研究知見の活用により課題が整理された

伊達:

弊社は研究知見を用いているのが特徴です。この点について印象に残っていることはありますか。

松岡様:

私たちの課題感に関連する研究知見が、既に世の中にこれほどまでに蓄積されており、活用できる状況にあるということを初めて知りました。

また、組織サーベイの設計のプロセスでは、私たちの中に「こうやりたい」「ああやりたい」と様々な思いがある中で、それを含めて最初にいただいたスケジュールどおりに済々と課題が整理されていったことは新鮮な驚きでした。

伊達:

組織サーベイにおいては、目指すべき方向性や課題を概念化することが重要です。今回の組織サーベイでは、働き方満足の構成要素について考える際、概念を挙げる必要がありました。

弊社では、概念を挙げる際に研究知見を活用しています。そうすることで、整理が早く進んだ面もありそうです。今回、多くの成果指標と影響指標を挙げました。研究知見なしに、一つひとつ名付けるところから始めていくと膨大な時間がかかったでしょう。

※成果指標とは、目指すべき状態を表す概念。影響指標とは、成果指標を促進/阻害する概念を指す。

オーダーメードの設計というと、途方もない作業のように思えてしまいます。しかし、オーダーメードなりの効率的なノウハウがあります。

松岡様:

当時の社長と経営企画部長の私との間で会社の課題を検討していると、様々な論点が出て、その整理に時間がかかっていました。学術研究の知見を用いることで短時間に効率よく整理がついたので、目的に向かって一直線に進めました。

良質な回答を得るため情報発信を工夫

伊達:

回答を募る段階に入ると、社内でどうアナウンスするか悩まれる企業も多いです。評価や異動に使われるのではないか。そうした不安を持つ社員もいます。良質な回答を得るために工夫された点はありますか。

松岡様:

社員の皆さんに、「働き方改革の取り組みは仕事の中身や生産性の向上が目的であり、皆さんの現状を知るためにアンケートを実施する」ということを、サーベイ実施前に文書で発信しました。

また、サーベイの質問項目の内容が社内の言葉と馴染まなかったり、意味が分かりにくかったりするものは、社内で普段使われている言葉に置き換えるよう、設計時に配慮しました。意味の取り違えが起こると結果が変わってきます。

伊達:

企業によっては、社員が「アンケートに回答してもどうせ変わらない」「受ける気もしない」と感じ、回収率が低くなる場合もあります。他方、御社では、組織サーベイとそれに基づく施策の実施が経営計画に組み込まれています。経営層が組織サーベイの結果を活かす意思を持っていることが社員に伝わったのでしょう。

分析結果の理由を丁寧に考察した

伊達:

組織サーベイの回答を得た後、ビジネスリサーチラボで一次分析を行い、ディスカッションを経て追加分析をしました。目指すべき状態である「成果指標」が現在どうなっているか、成果指標を促すための影響指標はなにか、対策をどう打てばいいかを明らかにするのが、分析の目的でした。

松岡様:

当社の分析結果について最も印象的だったのは、「仕事の俯瞰」という影響指標が様々な成果指標に関係しているというものです。最初は「なぜ、仕事の俯瞰がこれほど影響しているのだろう」と不思議でした。

ただよく考えてみると、当社はシェアードサービス会社で、経理・人事・総務などの業務をグループ各社から横断的に請け負っています。各々の分野に対しては専門的ですが、専門的であるが故に社内の他部門の業務が見えにくい構造になっていました。

伊達:

お互いに同じオフィスで仕事しているのに、隣の社員がどのような仕事をしているのかわからない。そのような中、「自分の仕事が会社全体においてどのような位置づけか」を俯瞰していると、働き方満足につながるという結果は示唆的ですね。

組織サーベイにおいては、「この結果が出てきた理由は何か」と分析結果を解釈するプロセスが大切です。アサヒプロマネジメント様のプロジェクトでは、丁寧に考察に取り組めました。

設計時の仮説が考察につながる

松岡様:

パッケージ型とオーダーメード型の違いもあるのかもしれません。同時期にアサヒグループ共通でパッケージ型の組織サーベイも行っていました。しかし、そこで出てきた結果を見ても、何をしたらいいのか、具体的な打ち手までは浮かびませんでした。

今回、ビジネスリサーチラボ様と実施した組織サーベイでは、結果が出る前から「この項目でこういう結果が出そう」という仮説を立てていたので、考察も行いやすかったです。

なお、当初は「上司部下関係が原因で問題が生じているのでは」という仮説も立てていましたが、そこは成果指標には関係していませんでした。これは安心できる結果でした。

伊達:

組織サーベイの分析結果をいきなり目にしても、なかなか対策にはつなげにくいものです。事前に様々な仮説を立てておくと、分析結果を受け止める準備ができます。これを「レディネス」と呼びますが、レディネスは組織サーベイの活用をもたらしますよね。

松岡様:

当社の目的は、どうしたら働き方満足を高められるか、新しい打ち手を探したいということがメインでした。この目的を果たすためには、パッケージ型では難しかったと思います。

分析結果をもとに様々な施策を実施

伊達:

働き方満足を高めるためには、たとえば、仕事の俯瞰が重要であるとわかりました。その後、アサヒプロマネジメント様では、どのような対策を実施されましたか。

松岡様:

社員への情報の共有を目的に、いくつかの施策を実施しました。

施策(1) 社長表彰

松岡様:

まず1つ目は、社長表彰制度を導入しました。優れた取り組みを各部門から選抜して表彰し、表彰式で私たちが担当者にインタビューをしました。社員はそれをオンラインで視聴する形です。

表彰された社員のエンゲージメント向上も狙っていますが、どのような取り組みをやっているのかを皆さんに広く周知することも目的としています。

施策(2) 経営会議のオープン化

松岡様:

また当社では、毎月1回、経営会議の一パターンとして経営課題の進捗を確認、共有する会議を実施しています。従来、経営層・各部門長で集まり進捗を確認していましたが、この内容を全社員にオープンすることにしました。

各部門の経営課題の進捗報告や関連する資料を、全て社員に見えるようにし、それらに対して皆さんからも意見を頂きます。頂いた疑問・質問には、私たちが回答して、翌月の会議のなかでオープンに共有します。双方向のコミュニケーションを実施しています。

情報格差があることで社員の皆さんが新たな取り組みに踏み出しにくいのでないか、意見を言おうにも「自分が間違っているかもしれない」という状況があったのではないかと考えていました。社員と目線を合わせたいこともあり、全ての課題も見えるようにしました。

オープン化の当初には、「この施策の目的が初めて分かりました」「これは、この課題の解決のためにやっていると理解できました」といった意見を多くもらいました。実は「今まで十分に施策の意義が伝わっていなかった」ことが私としてはかなりショックでした。

ところが、オープン化を続けていると、私たちの考えていることと、社員からの意見の内容が段々と合ってきました。今では社員の皆さんからは、自部門の枠を超えた指摘や意見、提案を頂くことも多くなってきています。

伊達:

まさに仕事の俯瞰ですね。経営層の会議で交わされる情報は、仕事を俯瞰したものです。その情報を得る機会があれば、自然と仕事の俯瞰につながっていきますね。

理屈ではわかるのですが、驚くべきは、それをオープン化という形で実行された点です。経営層にとっては情報の非対称性が権力の源になっている側面もあります。社員が知らないことを役員は知っている、と。しかし、アサヒプロマネジメント様の場合、それよりも、経営層と社員が助け合いながら会社を良くしていこうとされたのですね。

松岡様:

実は当初は私からは、会議の内容をダイジェストで社員に知らせてはどうかと提案しました。すると事務局から、「であれば資料も全て公開し、意見をもらったらどうか」と逆に提案をもらったのです。

実施してみたら様々な反応が返ってきました。そのうち動画も見せましょうという話になり、現在に至ります。ストレートに社員の意見が分かるようになりました。会話の質も上がってきています。

施策(3) 社内メールマガジン

松岡様:

さらに、この2年間はテレワークの社員が増え、社員間のコミュニケーションが少なくなったことを背景に、社員を紹介するメールマガジンの発信を始めました。毎月何名かをピックアップし、どのような仕事をしているか、またプライベートの過ごし方なども紹介しています。

施策(4) 全社員参加のチャットルーム

松岡様:

他にも、グループ会議ソフトのチャット機能を利用して、全社員が参加するチームを作りました。その中に、仕事の相談や雑談などができるような、様々なチャンネルを作って意見や情報の交換をしています。

伊達:

経営会議のオープン化やチャットルームの作成は、オンライン化が後押ししてくれていますね。

松岡様:

オンラインではあれば物理的な制約がなく、会議室を確保しなくていいですよね。また面と向かって話すわけではないので投稿しやすかったり、電話などと違い、その場で相手の時間を奪わなかったりする点も良かったです。

質問項目の内容を丁寧に検討した

伊達:

組織サーベイを実施してみて、苦労した点と有益だった点を教えてください。

松岡様:

苦労したのは、オーダーメードならではの点で、質問項目の言葉選びについて丁寧な検討が必要であることです。仕方ないことですが、この手間は掛かってきます。ただ、つらいわけではなく、個人的には非常に勉強になる時間でした。

また、他の組織サーベイとの実施時期がなるべく重ならないように調整する必要がありました。時期が重なると、社員に負担を掛けることになりますので。

伊達:

質問項目の内容について積極的に関わっていただけたことは、ありがたかったです。オーダーメード型の組織サーベイでは、クライアント側のご意見やコミットがある方が質を高められます。

また、今後、ビジネスリサーチラボで取り組んでいきたいことの一つに「質問項目の削減」があります。たとえば、項目反応理論などを用いて、回答の負荷を下げていければと思います。

打ち手を具体的に検討できた

松岡様:

有益だった点は、既にお話した通りオーダーメード型で実施したことによって、打ち手が検討できた点です。私たちの課題感に合わせて確認しているため、結果に対する具体的な打ち手が素直に出てきました。

伊達:

何となく現状を把握してみようと組織サーベイを導入し、忙しい時期に分析結果が返ってきて、結果が活用されずに終わる企業もあります。一方、アサヒプロマネジメント様は、初めから打ち手につなげることを強く意識していたのが印象的です。


アサヒプロマネジメント様の事例のポイント

(伊達洋駆)

アサヒプロマネジメント様の組織サーベイの実践事例から、組織サーベイを成果につなげるための4つのポイントを見出すことができます。ここでは、それらのポイントについて解説します。

(1) 経営層と共に成果指標を定義する

一般に、組織サーベイの中には「成果指標」が含まれています。成果指標とは、人や組織の望ましい状態を意味し、会社として目指すべきゴールとなります。アサヒプロマネジメント様の事例では「働き方満足」をキーワードに、その定義を丁寧に行いました[1]

アサヒプロマネジメント様とビジネスリサーチラボの共同で、成果指標の定義を行えたのは大きかったと感じます。相互に意見を交わす中で、ビジネスリサーチラボからは研究知見を提供することができましたし、測定可能な成果指標を定めることもできました。

また、成果指標を定義する際に、アサヒプロマネジメント様の経営層に関わっていただけたのも重要でした。組織サーベイを実施したのは良いが、経営層にフィードバックした際、成果指標に違和感を示されてしまうと、組織サーベイの意義が失われてしまいます。

(2) 対策を強く意識し続ける

組織サーベイを実施するのは、会社をより良いものにしたいからです。そのためには、組織サーベイを通じて対策を検討し、実行に移す必要があります。しかし、このことは「言うは易く行うは難し」で、対策に落とせず悩んでいる企業もあります。

そのような中、アサヒプロマネジメント様は、ビジネスリサーチラボに組織サーベイを依頼する時点で、組織サーベイの分析結果を対策につなげることを強く意識していました。一見シンプルなことに聞こえますが、対策への意識付けは非常に大事です。

というのも、「とりあえず、会社の現状を把握したい」というモチベーションで組織サーベイを実施すると、分析結果を見て「勉強になった」という感想で終わってしまう可能性があるからです(弊社では、そうした状況に陥った企業から「どうすれば良いか」と相談を受けることがあります)。

成果指標を促す要因である「影響指標」を挙げる際にも、対策をイメージしました。対策が打てない影響指標を組織サーベイに入れても、どうしようもありません。設計時から、この影響指標を高めようとなったときに手を打てるかを考えました。

こうした対策を意識する姿勢は、アサヒプロマネジメント様の社員にも伝わったのかもしれません。実際に組織サーベイを通じて対策を講じることは、社員にアナウンスされていました。「このアンケートに答えても無意味」といった感情にならずに済んだのではないかと思います。

(3) 分析結果を丁寧に考察する

影響指標を考える際には、アサヒプロマネジメント様の持つ実践知とビジネスリサーチラボの持つ研究知の両方を用いました。このことによって、アサヒプロマネジメント様にとって驚きのある分析結果(例えば、「仕事の俯瞰」の重要性)を得ることができたのも良かった点です。

加えて、組織サーベイの分析結果をそのまま受け止めて終わり、ではなく、「なぜ、このような結果が得られたのだろうか」と考察することができたのも、今回の組織サーベイが上手く運んだ理由の一つでしょう。

分析結果を丹念に解釈することで、そのメカニズムにまで思いが至り、納得感が醸成できますし、結果の妥当性を確かめることもできます。高い納得感があれば、自信を持って対策を打てます。

(4) 多面的に対策を展開する

アサヒプロマネジメント様の組織サーベイで何より特徴的なのは、組織サーベイの分析結果をもとに全社的な対策を練り、実行した点です。これには、意思決定ができる経営層が組織サーベイに積極的に関わったことが関係しています。

しかし、経営層が関わりさえすれば、対策につながる組織サーベイになるかというと、そうではありません。組織サーベイに関わったアサヒプロマネジメント様の方々が、「自分たちに何ができるか」と考え続けたことが大きかったでしょう。

さらに、一つの影響指標を高めるために複数の対策を実行した点も注目に値します。多面的に対策を展開することで、その影響指標を高められる可能性が上がります。このように粘り強い努力が改善を実現するのです。

(了)


[1] 成果指標をはじめとして、組織サーベイの基本用語を理解するために、弊社の「人事のための組織サーベイ入門:従業員の心理を可視化し、データ分析に基づいて意思決定する方法」というセミナーレポートを参考にしてください。

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