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新刊『人材マネジメント用語図鑑』(安藤健氏と共著)がソシムより出版されました

書籍プレスリリース

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役 伊達洋駆の新刊人材マネジメント用語図鑑が2021年8月24日にソシムより出版されました。

「人材マネジメント用語図鑑」(ソシム)

本書は安藤健氏(人材研究所)との共著で、マネジメントに関するキーワードを図鑑の形式で紹介しています。

人材や組織のマネジメントを巡っては、毎年のように新しいキーワードが登場します。それら一つひとつについて、関連する研究知見を参照できる内容となっています。
また、それぞれのキーワードに関連する人事施策・制度についても紹介しています。

出版社の許可を得て、「はじめに」を公開します。


はじめに 

一般に、大学院で経営学を専攻して博士課程まで進学すると、その多くは卒業後に大学で勤務する教員になります。学部生や大学院生を教育しながら、自身の研究を進める立場です。
そのようなキャリアパスが当たり前である中、私(伊達)は博士課程在籍中に「ビジネスリサーチラボ」という会社を立ち上げました。学術界との関係は保ちつつ、今日に至るまで同社の経営を続けています。
ビジネスリサーチラボでは研究知見を活用し、「組織サーベイ」や「人事データ分析」といったサービスを提供しています。組織サーベイとは、従業員を対象にしたアンケートやインタビューなどの調査を実施すること、人事データ分析とは、社内に保管されたデータから示唆を得ることを指します。
組織サーベイにおいても人事データ分析においても、仮説を立てたり、分析を行ったり、結果を考察したりする上で研究知見は実に有用です。研究知見を用いずに、経験則や伝聞だけで同じ品質のサービスを提供できる自信はありません。

私が研究知見を用いたサービス提供を始めて十数年になりますが、開始当初と比較して研究知見に対する市場からの評価、特に人事業界での評価は変わったと感じます。研究知見に対して明らかに関心を持っていただけるようになったのです。
たとえば、数名の方に参加していただくのにも苦労した、ビジネスリサーチラボ主催のセミナーは現在、以前では考えられない人数の参加者に恵まれています。外部のセミナーでも、研究知見を話す役割として登壇を依頼される機会が、年々増えています。
組織サーベイや人事データ分析の際に、企業の方々とコミュニケーションを取ることが多くあります。どのような役職の方も、私たちの研究知見を交えた話に、熱心に耳を傾けてくれます。
かつて「学術研究なんて机上の空論」と面と向かって言われたり、「研究が実務の役に立つ理由を説明してほしい」と求められたりしたことが嘘のようです。今となっては懐かしさすら感じます。

このように以前と比べて、研究知見はその重要性を認識していただけるようになりました。一方で、経営学の実証研究の知識が、実務に取り組む方々に広く知られているかといえば、決してそういうわけではありません。これには、いくつかの理由が考えられます。
まず多くの方には、学術論文を日常的に読む習慣がありません。論文には特殊な語が用いられていますし、形式や構成も一般の文章とは異なります。読み慣れていない方にとっては、「理解しにくい」と感じても不思議ではありません。
他方で、経営学の実証研究を網羅的に紹介したビジネス書は珍しく、あったとしても、学部生や大学院生向けの教科書が中心です。ビジネスパーソンの方々が気軽に参照できるものはかなり少ないのが実状です。
こうした背景の下、本書は作成されました。本書は図鑑の形式で、幅広い研究知見を紹介するものです。文章の量は少なく、視覚的に読者の皆さまの理解をサポートすることを狙っています。
とはいえ、研究知見を取り上げるだけでは、目の前の実践と別の世界の話をしているように感じられるかもしれません。そこで、本書では実務との接合を図るべく、研究知見に関連する人事施策・制度もあわせて紹介しています。

本書は二人の著者で執筆していますが、私(伊達)の役割は、経営学、とりわけ組織論及び組織行動論の研究知見を解説することです。世界には膨大な研究知見が存在していますが、そのすべてを取り上げるのは現実的ではありません。本書においては、日本の学術界である程度受容されているものを中心に取り上げています。
いずれの研究知見についても、本書で紹介するに先立って、改めて原典にあたりました。すなわち、ファクトチェックを一つひとつ行うという作業を経ています。そのこともあり、長い執筆期間を要してしまいました。
ファクトチェックにあたっては、ビジネスリサーチラボでフェローを務める能渡真澄さん・小田切岳士さんに支援していただきました。能渡さんと小田切さんの協力がなければ、本書は実現していなかったでしょう。
そして、研究知見に関連する人事施策・制度の解説を務めるのは、共著者の安藤健さんです。安藤さんは、人材研究所の若き気鋭のコンサルタントです。
安藤さんには、非常に幅広い範囲の人事施策・制度を取り上げ、端的にその特徴や注意点などを挙げていただいています。

本書は、図鑑という少しばかり特殊な形式をとっています。図鑑というと、子供の頃に植物や動物、はたまた昆虫の図鑑を読んだ方も多いかもしれません。
図鑑については、前から順番に目を通していくのも良いのですが、無作為にページを開いて、そのページに書かれた植物、動物、昆虫との出会いを楽しむといった読み方もあります。本書もまた、ページ順に読むこともできれば、適当にページを開いても関心を満たせるようにも作っています。

人や組織、それからマネジメントの実務をめぐって、毎年のように流行語が登場します。新しい考え方が出てくる度に、本書を手にとって「関連する研究知見はないか」を探していただけると、流行に対して冷静な目を持つことができるはずです。
本書をきっかけに、研究知見が読者の皆さんの好奇心を駆り立てると同時に、少しでも身近なものになることを願っています。それでは、本書を自由にお楽しみください。

ビジネスリサーチラボ
代表取締役 伊達洋駆


株式会社ビジネスリサーチラボについて
企業人事をクライアントに、「アカデミックリサーチ」をコンセプトとした組織サーベイや人事データ分析を提供しています。

本件に関するお問合わせ
株式会社ビジネスリサーチラボ
Web:https://www.business-research-lab.com/
Mail:kenkyukai at business-research-lab.com

#伊達洋駆 #『人材マネジメント用語図鑑』

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