2026年2月3日
思いやりが導く成長:コンパッショネート・リーダーシップが変える組織

近年、組織の持続可能性を支える要素として「思いやり(コンパッション)」が注目されています。競争と効率が重視されるビジネスの世界において、リーダーがいかにして人間的なつながりを保ち、信頼や心理的安全性を育むかが、企業の成果やレジリエンス(変化への適応力)を左右するようになっています。
パンデミックや経済変動を経て、従業員のメンタルヘルスやチームの結束を維持するリーダーの役割はますます重要性を増しています。こうした背景のもと、「思いやりのあるリーダーシップ(コンパッショネート・リーダーシップ)」という概念が学術的にも実務的にも関心を集めています。
この考え方は、単なる「優しさ」ではなく、他者の苦しみを理解し、支援のために具体的な行動を取る力を意味します。感情的な共感にとどまらず、リーダーが構造的・制度的にサポートの仕組みを整えることで、組織全体の信頼やパフォーマンスを高めるものとして位置づけられています。
本コラムでは、リーダーの思いやりが従業員のウェルビーイングや自律性、さらには組織の持続的成長にどのように関わるのかを、複数の研究をもとに探っていきます。具体的には、思いやりが個人のキャリア意識をどのように高めるのか、また危機的状況をどのように学びと変革の機会に変えるのか、さらに組織文化として思いやりを根づかせる方法までを、多角的に考察します。
思いやりは、単なる感情ではなく、戦略的なリーダーシップ資源です。共感と期待、支援と自立のバランスをどう取るか。これからのリーダーシップに求められるのは、「優しいリーダー」ではなく、「思いやりをもって育てるリーダー」です。本コラムでは、その実践の知恵と可能性をひもといていきます。
思いやりが生む持続的な組織の力
はじめに、思いやりの行動が組織全体の持続的な成長にどのようにつながるのかを探った研究を紹介します[1]。この研究は、リーダーのコンパッショネート・リーダーシップが従業員のウェルビーイングや組織コミットメントに与える影響をテーマとしています。
アジアとヨーロッパの企業に勤める管理職と部下の約400組を対象に、アンケートと面接を組み合わせ、一定期間にわたって追跡調査を行いました。研究では、リーダーが共感的な支援や傾聴をどの程度実践しているかと、それが部下の仕事満足度や離職意図、さらにはチーム全体の持続的パフォーマンスにどのように関係しているかが検討されました。
研究の結果、リーダーの思いやり行動は従業員の心理的ウェルビーイングを高め、ストレス耐性や仕事へのエネルギーを強化することが明らかになりました。さらに、部下が「自分は大切にされている」と感じると、上司だけでなくチーム全体への信頼感も高まり、職場における協力的行動が増加する傾向が確認されました。
一方で、過剰な共感や干渉が続くと、従業員が依存的になり、自律性や挑戦意欲を損なうリスクも指摘されています。つまり、思いやりには「支援」と「自立促進」の両立が求められるのです。
この研究の実践的含意は、リーダーの思いやり行動を単なる優しさではなく、「持続可能な職場文化をつくる戦略的要素」として位置づける点にあります。コンパッションは、個々の感情的サポートにとどまらず、長期的に従業員のモチベーションと組織への信頼を支える要素として機能します。そのため、リーダーは一時的な励ましや慰めだけでなく、「成長を促す関心」を持って関わることが重要です。
マネジメントの観点からは、リーダーの思いやりを「対話」と「自立支援」を両立させる仕組みとしてデザインすることが有用です。たとえば、メンバーの課題に共感したうえで、「次に何を学びたいか」「どんな支援があれば自分で進めそうか」といった問いかけを通じて、自己決定感を育むことが効果的です。
また、組織としても、上司の個人的資質に依存するのではなく、思いやりを文化的価値として共有し、制度的に支える仕組み(例:ピア・サポート制度や心理的安全性を重視した評価基準)を整えることが望ましいでしょう。
この研究が示すのは、思いやりが単なる情緒的な行為ではなく、組織の持続可能性を支える「社会的資本」であるということです。リーダーが共感と期待をバランスよく示すことで、メンバーの内発的動機づけが高まり、結果として組織全体のレジリエンスが強化されます。
つまり、持続的な組織づくりにおいて重要なのは、「優しいリーダー」ではなく「思いやりをもって育てるリーダー」です。共感と挑戦を両立させる関わりこそが、変化の時代におけるリーダーシップの核心といえるでしょう。
思いやりのあるリーダーが生む自信とキャリアの好循環
前章では、リーダーの思いやりが職場の持続可能性やチームの信頼構築にどのように寄与するかを見てきました。本章ではさらに一歩踏み込み、コンパッショネート・リーダーシップが個人の自己評価やキャリア意識にどのような影響を与えるのかを検討した研究を紹介します[2]。
この研究は、コンパッショネート・リーダーシップが従業員の自己肯定感やキャリア満足度、離職意向に及ぼす影響をテーマとしています。アジアのサービス業と製造業に勤める中間管理職および一般社員約500名を対象に、質問紙調査を通じて行われました。特に、上司がどの程度、部下の感情や課題に共感的に対応し、支援的な行動を取っているかに焦点が当てられています。
分析の結果、思いやりのあるリーダーのもとで働く従業員は、「自分には価値がある」という自信が高まり、仕事に対してより主体的に取り組む傾向が見られました。
さらに、これらの従業員は、自らのキャリアを「成功している」と感じる割合が高く、組織への定着意欲も強いことが示されました。つまり、リーダーの共感的な関わりは、従業員の心理的安定を支えるだけでなく、自信とキャリア成長を促す好循環を生み出していたのです。
この研究が示す重要な含意は、コンパッションが「個人の内面的な強さ」を引き出す力を持っているという点です。リーダーが従業員の感情を理解し、尊重の姿勢を見せることで、部下は「自分は価値のある存在だ」と感じ、困難に対しても挑戦する意欲を保ちやすくなります。単なる励ましではなく、「あなたの力を信じている」というメッセージが、個人の成長意識を支えるのです。
マネジメントの観点からは、思いやりを単なる感情的支援ではなく、「自律を促す関わり」として位置づけることが効果的です。たとえば、部下の課題に共感しつつも、解決策を一方的に与えるのではなく、「あなたはどう考えるか」と問いかけ、内省を促すことで、自己効力感を高めることができます。
また、リーダーが自らの失敗体験を共有することも有用です。これにより、部下は「失敗しても成長できる」という安全感を持ち、より挑戦的な行動をとりやすくなります。
さらに、組織としては、リーダーの思いやり行動を個人の特性に任せるのではなく、評価制度や教育プログラムに組み込むことが有用です。たとえば、メンバーの育成や心理的サポートをマネジャー評価の一項目に加えることで、思いやりを「成果創出の一部」として定着させることができます。
この研究は、思いやりを「優しさ」ではなく、「成長を支える戦略的関係性」として捉える視点を提示しています。リーダーの共感的な態度は、従業員の心の安定を支えるだけでなく、自己評価を高め、主体的なキャリア形成を後押しします。結果として、組織全体のエンゲージメントと人材定着を強化することにもつながるでしょう。
つまり、持続的な成果を生むリーダーシップとは、厳しさと優しさを切り離すのではなく、思いやりの中に「期待」と「信頼」を織り込むことです。その関わり方が、個人の自信を育み、組織の成長を支える最も現実的な道といえるでしょう。
危機を転換点に変えるリーダーの視点
前章では、リーダーの思いやり行動が従業員の自信やキャリア意識を高める働きを紹介しました。本章では、さらにマクロな視点から、企業が危機的状況に直面した際にどのように機会へと転換できるのかを探った研究を取り上げます[3]。この研究は、企業が外部環境の急激な変化、特に経済危機やパンデミックなどの混乱期において、どのように組織的学習や戦略的革新を促進していくのかをテーマとしています。
アジア、ヨーロッパ、北米の中堅から大企業まで計120社を対象に、経営層へのインタビューとアンケートを組み合わせ、多角的な視点から分析が行われました。焦点は、危機対応におけるリーダーシップの役割と、企業文化の柔軟性がどのように新たな成長機会を生み出すかに置かれています。
研究の結果、危機を単なる損失や脅威として捉える企業よりも、「変化を通じて学ぶ機会」と見なす企業の方が、回復後の業績向上率が高いことが明らかになりました。特に、トップマネジメントが従業員との対話を重視し、組織の現状認識を共有する姿勢を持つことで、社員の不安が軽減され、新たなアイデア創出が活発になる傾向が確認されました。
一方で、指示命令型のリーダーシップを強めた組織では、短期的には秩序が保たれても、中長期的な変革力が低下するリスクがあることも示されています。なぜならば、トップダウンの統制が続くことで、従業員の主体的な判断や創造的な発想が抑制され、環境変化に柔軟に対応する組織学習の機会が失われてしまうからです。
この研究の実践的含意は、危機を「統制」ではなく「創造」の文脈で捉える発想にあります。リーダーが組織内の多様な声に耳を傾け、状況の不確実性を正直に共有することが、むしろ信頼を高め、学習を促す契機となります。危機の中で問われるのは、完璧な計画を持つことではなく、変化に適応しながら前進する柔軟な姿勢です。
マネジメントへの応用としては、危機対応を単発の施策ではなく、組織能力の強化プロセスとして位置づけることが有用です。たとえば、危機後に行動を振り返る「学習レビュー」の場を設け、成功・失敗の両方から学びを抽出することが効果的です。また、トップ層だけでなく現場のリーダーが自律的に判断できる環境を整えることで、組織全体のレジリエンスを高めることができます。
この研究は、危機が本質的に「組織の思考を再構築する機会」であることを示しています。混乱の中でリーダーが果たすべき役割は、恐れを抑え込むことではなく、「意味づけ」を行うことです。状況を共有し、未来への可能性を語ることで、組織は一体感を取り戻し、持続的な変革を実現できるのです。
危機は避けられないものですが、その受け止め方次第で結果は大きく異なります。リーダーが不確実性を成長の糧とする視点を持つことこそ、組織を未来へ導く第一歩といえるでしょう。
思いやりを支える組織文化の再構築
前章では、危機を成長の機会へと変えるリーダーシップのあり方を見てきました。続く本章では、医療現場を題材に、コンパッションを中心としたリーダーシップの発展を探る研究を取り上げます。この研究は、医療機関におけるコンパッショネート・リーダーシップがどのように育まれ、持続しているのかについて、これまでの研究成果をまとめて分析したものです[4]。
この研究は、イギリスをはじめとする先進国の医療組織を対象に、既存の理論と実証研究を整理し、思いやりを育むために必要なリーダーシップの条件や組織文化の特徴を明らかにしました。特に、従来の「命令と統制」型マネジメントから脱却し、組織を「機械」のように管理するのではなく、環境に合わせて変化する「生き物」として捉え直す発想の転換が求められています。
研究の結果、思いやりのある組織文化を支えるのは、単一のリーダーではなく、チーム全体に分散された協働的なリーダーシップであることが明らかになりました。従来のように、上層部の指示に従うだけでは、医療従事者は恐怖と疲弊に陥りやすく、結果的に患者への共感や思いやりの実践が損なわれることが確認されています。
一方、メンバー同士が信頼関係を築き、感情面のサポートを受けながら業務に臨む組織では、創造性や心理的安全性が高まり、思いやりのある対応が自然に生まれる傾向がみられました。
この研究が示す実践的な示唆は、思いやりを「感情的な優しさ」ではなく、「組織的な力」として再定義することにあります。リーダーがまず自分自身に対してセルフ・コンパッションを持つことで、他者への共感や忍耐力が持続しやすくなります。
また、ミスを罰するのではなく、共有と学びの機会に変える姿勢が、職員の安心感を高め、チームの結束を強化します。こうした文化が根づくことで、患者にも自然と温かみのあるケアが提供されるようになるのです。
マネジメントへの応用としては、リーダーシップ開発を「選ばれた人の教育」ではなく、「全員が学び合う仕組み」として捉えることが有用です。たとえば、部署横断的なチームでのコーチングやリフレクションの場を設け、現場の課題を共有・解決していく仕組みを導入することが効果的です。
こうしたプロセスを通じて、管理者と現場の垣根を低くし、互いに支え合う関係を築くことができます。また、経営層が率先して「思いやりをもって働く喜び」を語り、職員の努力を称える姿勢を示すことも、組織全体の士気を高めるうえで重要です。
さらに、組織を「機械」ではなく「生きたシステム」として捉える視点も強調されています。現場の小さなチームが自律的に判断し、相互に支え合いながら最適なケアを模索する環境を整えることが、思いやりの持続につながります。このように「現場が自ら考え動くチーム」は、単に効率を追求するよりも、患者や同僚との信頼関係を重視し、柔軟に対応できる強さを持っています。
思いやりのあるリーダーシップとは、個人の性格や感情に依存するものではなく、組織全体の文化として設計されるものです。リーダーが誠実さと謙虚さをもってメンバーの声に耳を傾け、学びを支援することで、思いやりが日常的な実践として根づいていくのです。結局のところ、医療に限らず、どの組織でも「恐れではなく誇りと喜びが働く原動力となる環境」をつくることが、持続的な成果と幸福をもたらす最も効果的な道といえるでしょう。
思いやりのあるリーダーシップの未来
前章では、医療現場における思いやりを組織文化として定着させる方法を考察しました。本章では、より包括的な視点から、コンパッショネート・リーダーシップについて過去20年間の主要な研究を網羅的に分析した報告を紹介します[5]。
この研究は、世界中の80本以上の論文を精査し、思いやりのあるリーダーシップがどのように定義され、どのような成果と課題が報告されているかを整理したものです。
分析の結果、思いやりのあるリーダーシップは「他者の苦しみを理解し、それを軽減するために行動する力」と定義づけられ、その実践は従業員の心理的安全性、組織への信頼、そして職務満足度を高める効果があることが確認されました。
特に、リーダーが共感だけでなく、具体的な行動(たとえば支援体制の調整や業務負担の軽減)を伴うことで、思いやりが「感情」から「組織資源」へと変化することが示されています。一方で、過度な感情的負担や、リーダー自身の燃え尽き(コンパッション・ファティーグ)といった課題も指摘されました。
この研究が示す重要な含意は、思いやりをリーダーの「個人的特性」ではなく、「組織的能力」として育てる必要があるという点です。リーダーが常に他者の感情に共鳴し続けるのは現実的ではありません。むしろ、チーム全体で支え合い、感情的負担を分散させる仕組みを整えることが、持続的な思いやりの実践につながります。たとえば、定期的なピア・サポートの場や、感情を共有するミーティングの導入が有用です。
マネジメントへの応用としては、「思いやりの見える化」が効果的です。リーダーがどのように部下を支援しているかをチームで共有し、その行動を称賛する文化をつくることで、思いやりが組織全体の価値観として定着します。
また、業務評価の基準に「他者支援」「共感的対応」といった項目を加えることも、思いやりを形式知として扱う一つの方法です。これにより、思いやりは感情的行為ではなく、戦略的なリーダーシップスキルとして位置づけられます。
さらに、研究では「思いやりのリーダー」と「高い倫理観を持つリーダー」「奉仕型リーダー」との関連性も指摘されています。これらはいずれも他者の成長と幸福を重視する点で共通しており、組織が多様な価値観を尊重しながら目標を達成するうえで相補的に機能すると考えられます。したがって、リーダー教育の場では、倫理観と感情知性を統合的に育成することが効果的でしょう。
この研究は、思いやりを「一時的な感情」から「持続可能な組織文化」へと進化させる方向性を示しています。リーダーが共感を行動に変え、行動を文化に変えるプロセスを支援することが、これからのマネジメントの核心になるといえます。
結局のところ、思いやりのあるリーダーシップとは、他者への共感を超えて、組織全体で「支え合いの仕組み」を築くことにほかなりません。それこそが、変化の激しい時代において人と組織をともに成長させる持続的なリーダーシップの形なのです。
「甘やかし」にならないための線引き
最後に、人間関係のもう一つの側面である「思いやりの働き」が職場でどのような影響を及ぼすのかを検討した研究を紹介します[6]。この研究は、職場におけるコンパッションの効果をテーマとしています。
ヨーロッパと北米の企業に勤務する管理職と部下のペアを対象に、アンケート調査とインタビューを組み合わせた方法で実施されました。研究では、リーダーが部下に対して示す思いやりが、チームの信頼関係や心理的安全性にどのように作用するかを分析しています。
結果として明らかになったのは、思いやりの行動がいつも良い結果につながるわけではないということです。リーダーが部下の悩みや困難に寄り添い、助けようとする姿勢は、短い期間では安心感や信頼感を生みやすいことが確認されました。
しかし、過度な思いやりが続くと、部下が自律的に課題へ向き合う意欲を弱めたり、依存的な関係を生み出す可能性があることも確認されました。すなわち、思いやりには「回復を支える力」と「自立を妨げる力」という、相反する側面が存在するのです。
この研究の重要な含意は、思いやりを単なる優しさや配慮として捉えるのではなく、「支援と挑戦のバランスを取るマネジメントスキル」として理解することにあります。リーダーが状況に応じて適切な距離を保ちながら共感を示すことで、メンバーは自らの力で問題に取り組む意欲を維持しやすくなります。
マネジメントの観点からは、コンパッションを「感情的な共感」だけでなく、「建設的な支援」として活用することが効果的です。たとえば、失敗した部下を慰めるだけでなく、次に何ができるかを一緒に考える対話を重ねることで、学習と成長を促す関係性を築けます。
また、組織文化としても、互いを思いやる風土をつくるだけでなく、「支援し合いながらも自立を尊重する」価値観を共有することが有用です。思いやりは、過剰でも不足でもなく、相手の成長を意識した関わりによってこそ、最も力を発揮します。
この研究は、職場におけるコンパッションの本質を「感情」ではなく「戦略的関係構築」として位置づけています。リーダーが思いやりをもって支援する姿勢は、単なる優しさではなく、チームを強くするための知的で実践的な選択といえるでしょう。
おわりに
本コラムを通じて見てきたように、コンパッショネート・リーダーシップは単なる優しさの発露ではなく、組織の持続可能性を支える戦略的資源といえます。リーダーが他者の感情を理解し、共感を具体的な行動へとつなげることは、従業員の信頼や自律性を高め、変化の時代における適応力を育むことにつながります。
今後のリーダーシップに求められるのは、「共感」と「期待」、「支援」と「自立」のバランスを取る姿勢です。リーダーがメンバーの成長を信じ、挑戦の機会を提供することが、結果的にチームの創造性とレジリエンスを強化します。また、思いやりを個人の資質に任せるのではなく、組織文化として制度的に支えることが重要です。
最終的に、思いやりのある組織とは、人を疲弊させずに成果を上げる仕組みを持つ組織です。リーダーが自らの感情に誠実であり、他者を尊重する姿勢を示すことで、思いやりは一時的な行為ではなく、組織の競争力へと変わっていくのです。
脚注
[1] Pansini, M., Buonomo, I., & Benevene, P. (2024). Fostering Sustainable Workplace Through Leaders’ Compassionate Behaviors: Understanding the Role of Employee Well-Being and Work Engagement. Sustainability, 16(23), 10697.
[2] Khalid, K., & Parveen, M. (2024). Compassionate leadership: as a support to enhance employees’ core self-evaluation, retention, and subjective career success. International Journal of Organizational Leadership, 13(3).
[3] Raina, R. (2022). Moving crisis to opportunities: A corporate perspective on the impact of compassionate empathic behaviour on the well-being of employees. International Journal of Global Business and Competitiveness, 17(2), 239-255.
[4] de Zulueta, P. C. (2015). Developing compassionate leadership in health care: an integrative review. Journal of healthcare leadership, 1-10.
[5] Ramachandran, S., Balasubramanian, S., James, W. F., & Al Masaeid, T. (2024). Whither compassionate leadership? A systematic review. Management Review Quarterly, 74(3), 1473-1557.
[6] Krause, V., Rousset, C., & Schäfer, B. (2023). Uncovering paradoxes of compassion at work: A dyadic study of compassionate leader behavior. Frontiers in Psychology, 14, 1112644.
執筆者
樋口 知比呂 株式会社ビジネスリサーチラボ コンサルティングフェロー
早稲田大学政治経済学部卒業、カリフォルニア州立大学MBA修了、UCLA HR Certificate取得、立命館大学大学院博士課程修了。博士(人間科学)。国家資格キャリアコンサルタント。ビジネスの第一線で30年間、組織と人に関する実務経験、専門知識で、経営理論を実践してきた人事のプロフェッショナル。通信会社で人事担当者としての経験を積み、その後、コンサルティングファームで人事コンサルタントやシニアマネージャーを務め、さらに銀行で人事部長などの役職を歴任した後、現在はFWD生命にて執行役員兼CHROを務める。ビジネスと学術研究をつなぐ架け橋となることを目指し、実践で役立つアプローチを探求している。
