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コラム

人事におけるデータ分析チームの作り方:成果を上げるためのプロジェクト構成を解説(セミナーレポート)

コラム

ビジネスリサーチラボは、20241月にセミナー「人事におけるデータ分析チームの作り方: 成果を上げるためのプロジェクト構成を解説」を開催しました。

人事領域におけるデータ分析の重要性が高まっています。そうした中、人事部門にデータ分析チームを作る企業が出てきています。

そこで、データ分析チームの作り方について解説しました。講師はビジネスリサーチラボ代表取締役の伊達洋駆です。多数のデータ分析プロジェクトを実行した経験をもとにお話をしました。

※本レポートはセミナーの内容を基に編集・再構成したものです。

メンバーとスキルセット

はじめに、人事部内にデータ分析チームを立ち上げる際に重要となる、メンバーとそれぞれのスキルセットについてお話します。データ分析チームの成否は適切な人材の選定に依存すると言っても過言ではありません。

具体的には、データアナリスト、ドメインエキスパート、プロジェクトマネジャーという3つの役割が求められます。これらの役割を持つ人材をそろえることが、チームの成果を最大化します。

データアナリスト

まず、データアナリストですが、その名の通り、データを解析し、有用な情報を抽出する専門家です。データの収集から始め、クリーニング、そして統計分析までを行います。このプロセスを通じて、データから有益な洞察を引き出し、意思決定を支援します。

データアナリストに必要なスキルセットとしては、統計学の知識が挙げられます。また、測定に関する専門知識も重要です。さらに、RやPythonなどのプログラミング言語のスキルも分析作業には不可欠です。データベースの構築、管理を行う能力も求められます。

ドメインエキスパート

続いて、ドメインエキスパートですが、人事に関する専門知識を持つ人材です。専門知識を活用して、分析の方向性を定めたり、結果を実践的な施策に落とし込んだりする役割を担います。

データアナリストだけで構成されたチームでは、分析が行き詰まります。データの解釈や施策への応用において、人事領域の深い知識が必要となるためです。ドメインエキスパートをチームに加えることは重要です。

ドメインエキスパートは、採用、評価、育成、配置など、人事のさまざまな側面に精通していることが望ましいと言えます。これは、データ分析が一つの領域だけに限らず、例えば、採用データの分析、評価システムの検証、研修プログラムの効果測定、人事異動の影響分析など多岐にわたるためです。

労働法や社内ガイドラインなど、法的な背景や企業内の規則についても理解が求められます。さらには、社内の権力構造や政治的な動きを理解し、これらを踏まえた上で分析プロジェクトを推進する能力が必要です。

ドメインエキスパートの存在は、分析結果を具体的な施策に変換し、実際の業務改善や戦略立案に活かす上で欠かせません。

プロジェクトマネジャー

データ分析チームを作っても、期待した成果が得られないことがしばしば見受けられます。よく見てみると、プロジェクト管理が適切に行われていないことが少なくありません。

例えば、プロジェクトが多岐にわたって混乱し、結果として成果が遅れているような状況です。こうした状況を避けるためには、プロジェクトマネジャーの存在が不可欠です。

プロジェクトマネジャーは、データ分析プロジェクトの計画立案から実行、監督に至るまでの流れを管理します。チームメンバーに対するタスクの割り当てや進捗の確認、さらには社内外の関係者とのコミュニケーションも含まれます。

しかし、多くのデータ分析チームにはプロジェクトマネジャーが不在であり、年初に立てた計画が未遂に終わることが珍しくありません。プロジェクトマネジャーがいれば、こうした事態を避けられたかもしれません。

プロジェクトマネジャーには、目標設定、計画立案、進行管理のスキルが求められます。加えて、チームの資源の適切な配分や、社内外との円滑なやり取り、報告や調整作業、そして予期せぬトラブルへの対処能力も重要です。

データアナリスト、ドメインエキスパート、プロジェクトマネジャーがチームにそろっている場合、データ分析プロジェクトを着実に進めることができます。チーム内での役割の明確化と相互理解は、チームのパフォーマンスを向上させます。

もちろん、場合によっては、データアナリストとドメインエキスパート、またはデータアナリストとプロジェクトマネジャーなど、複数の役割を兼務することもあり得ますが、3つの役割を担う人がいることが、成果を出すチームを作ることにつながります。

パーソナリティ

これまでの説明では、データ分析チームを構築し、その運営を円滑に進めるために必要な役割や機能に焦点を当ててきました。チームメンバーを選ぶ際には、そのパーソナリティに注目することも大事です。

学術研究によれば、チームの成果を向上させやすい特定のパーソナリティ特性が存在します。データ分析チームを人事部門で組織するときも、これらの特性を持つ人材を巻き込むことで、高い成果を得やすくなります。

重要なパーソナリティ特性は5つあります。これらのパーソナリティ特性を持つメンバーをチームに取り入れることで、チームの効率と成果が改善します。

  • 誠実性:目標に向かって真面目に、勤勉に取り組み、計画に沿って進める
  • 協調性:他人に対して協力的で、親切であり、人間関係を円滑にする
  • チームワークへの選好:個人よりもチームでの作業を好む
  • 開放性:新しいアイデアや知識に対する好奇心が強く、柔軟な思考を持つ
  • 集団主義:チームの調和や連帯を重視し、個人の利益よりもチームの利益を優先する

データ分析プロジェクトの流れ

データ分析プロジェクトを進めるプロセスがどのように展開し、先に挙げた3つの役割の人材がどのように貢献していくのかを理解しましょう。データ分析のプロジェクトは、一般的に8つのステップに分けて進行します。

①問いを立てる

最初のステップは、「問いを立てる」です。企業が直面する課題は様々ですが、それを定義し、プロジェクトの目標を明らかにすることが求められます。

この段階で、データアナリストは提起された問いが分析可能かどうかを評価します。ドメインエキスパートは、企業の特定のニーズを理解し、適切な問いを形成します。一方、プロジェクトマネージャーは、問いが適切なスコープであるかを検討し、その問いが企業にとって意味を持つものであるかを関係者と調整します。

例えば、「社員の離職率を下げる要因は何か」という問いがあり得ます。他にも、「社員のエンゲージメントを高めるには、どのような施策が効果的か」「研修プログラムは、社員のパフォーマンス向上に寄与するか」「テレワークが社員の生産性に与える影響は何か」「社内イベントは社員の結束力にどのような効果があるのか」など、企業によって多種多様な問いを立てることが可能です。

これらの問いは、企業が直面している具体的な状況に基づいて定められます。さらには、「採用時に重視すべき要素は何か」「社員が自律的にキャリアを形成するためには、どのような支援が必要か」「ワークライフバランスを実現するための上司の役割は何か」「マネジャーとしての資質を発揮する人材の特徴はどのようなものか」「チームのパフォーマンスを向上させるリーダーシップスタイルとは何か」など、固有の問いを定めると良いでしょう。

問いは、一つひとつの企業における具体的な状況に応じてカスタマイズされるべきものであり、すべての企業が同じ問いに取り組む必要はありません。

②仮説を立てる

次に進むのは、仮説を立てるステップです。ここでは、提起された問いに対して一時的な答え、つまり仮説を設定します。初期の見解を形成してみるのです。

データアナリストは、提案された仮説がデータ分析によって検証可能かどうかを評価します。ドメインエキスパートは、企業の現状や文脈を踏まえて、実現可能で意味のある仮説を提案することで貢献します。

プロジェクトマネジャーは、仮説立案のプロセス全体を監督し、仮説がプロジェクトの目標に対して適切か、また、時間的な制約の中で進められるかを確認します。例えば、「能力開発の機会を得られることが、離職率を低下させるのではないか」といった仮説が考えられます。

③データを整える

続いて、データ準備の段階では、分析に必要なデータを収集し、分析に適した形式に整える、いわゆるデータクリーニングを行います。

データアナリストは、ここで主導的な役割を果たします。ドメインエキスパートは、必要なデータの存在を知っているかもしれず、それをデータアナリストに紹介することで、データ収集を助けることができます。

プロジェクトマネジャーは、データ収集とクリーニングの作業がプロジェクトのタイムライン内で進行していることを確認し、必要に応じて調整を行います。このステップは予想以上に時間を要することがあり、効率的な管理が求められます。

例えば、社員が参加した研修プログラムの履歴、組織内サーベイの回答データ、離職した社員と在籍している社員を区別するデータなどを集めることができるでしょう。データは、立てられた仮説の検証に必要であり、有意義な洞察を得るための基盤となります。

④データを分析する

次のステップでは、統計分析を行います。収集したデータから有意義な情報を抽出し、仮説を検証します。

データアナリストは、データの統計分析を行い、得られた情報をもとに仮説が正しいかどうかを評価します。ドメインエキスパートは、分析結果が実際の事業や人事の文脈において意味を持つかを評価し、フィードバックを提供します。

プロジェクトマネジャーの役割は、分析プロセスで元の問いから逸脱しないようにすること、時間管理を徹底すること、そして必要に応じて分析の方向性を調整することです。

例えば、能力開発の機会が従業員の離職意思にどのような影響を与えているかを分析することが考えられます。

⑤結果を解釈する

さらに、分析によって得られた結果を見て、仮説が検証されたか、それが提出された問いに答えているかを検討します。

データアナリストは、結果を技術的な観点から解釈し、どのような結論を導き出すべきかを考えます。ドメインエキスパートは、分析結果を人事の文脈に当てはめて解釈し、その意義を探ります。

プロジェクトマネジャーは、分析結果がプロジェクトの問いにどのように関連しているかを再確認し、その結果をもとに次の行動計画を立てる責任を持ちます。また、分析結果を関係者に報告し、その情報をもとに意思決定を支援する準備も行います。

例えば、研修プログラムの受講有無よりも、社員が主観的に感じる能力開発の機会の方が、離職意思に影響を与えるという結果が得られるかもしれません。

⑥対策を検討する

データ分析の結果を受けて、得られた知見をもとに対策や改善策を考えます。この段階でデータアナリストは、対策がデータに基づいて効果がありそうか、すなわち実現可能性について意見を出します。

ドメインエキスパートは、企業にとって価値のある改善策を考案する役割を果たします。プロジェクトマネジャーは提案された対策の中から、実行可能なものを選び出し、それらを優先順位に従って整理します。また、対策を実行に移すための計画を策定します。

例えば、社員の離職率を下げるために、社員の認識する能力開発の機会を増やすことが有効だと分かった場合、研修後にリフレクションを促し、社員の成長実感を高めるという対策を検討することができます。

⑦対策を実行する

対策を実行するために必要なリソースを確保し、関係者の協力を得ながら対策を具体的に進めます。対策の効果を測定する準備もここで行います。

データアナリストは、対策の効果を検証するための指標を設定し、ドメインエキスパートは対策が人や組織にどのような影響を及ぼしているかを観察します。プロジェクトマネジャーは対策の実施状況を管理し、目標達成に向けてプロジェクトを進めます。

例えば、研修プログラムにおけるリフレクション機会を具体化するために、振り返りワークショップを導入し、それを確実に実施します。

⑧効果を評価する

対策の効果を評価します。効果が十分でない場合は、対策を見直し、必要に応じて計画を修正します。

データアナリストは対策の効果を分析し、ドメインエキスパートは社員からの定性的なフィードバックを集めることで、より幅広い視点から対策の影響を評価します。プロジェクトマネジャーは、このプロセスを管理し、最終的な成果を関係者に報告します。

このように、8つのステップを経てデータ分析プロジェクトを進めることで、データアナリスト、ドメインエキスパート、プロジェクトマネジャーが協力しながら、効果的な対策を実行し、成果を最大化することができます。

異なる専門家の協働

データ分析チームが成功を収めるためには、情報の共有が重要です。特に、独自性と開放性という2つの要素に注目すると良いでしょう。

独自性は、チームの各メンバーが持つ個別の知識や専門性を指します。一方、開放性は、各メンバーが持つ知識をオープンに共有し合うことを意味します。

データ分析チームが人事部門の中に構成される場合、データアナリスト、ドメインエキスパート、プロジェクトマネジャーといったメンバーがそろっていることで、チームはそれぞれの独自性を生かし合える体制が整います。

しかし、異なる専門性を持つ人が開放性を持って協力することは容易ではありません。意見の相違やコンフリクトが発生する可能性があります。

コンフリクトには、大きく分けて、人間関係上の衝突とタスクに関する衝突の2種類があります。どちらもチームの成果に悪影響を及ぼす可能性があることがわかっています。これらのコンフリクトを避けるための取り組みが求められます。

異なる専門性を持つメンバーで構成されるチームがうまく機能するためには、次の3つのアプローチが効果的です。

  • 相互学習:チームメンバーが互いに学び合うことで、知識の幅を広げ、相手の立場を理解することができます。例えば、データ分析やドメイン知識に関する情報を言語化し、共有します。お互いのスキルを教え合い、新しい分析方法についても学ぶ意欲を持つことが大切です。
  • 相互依存:メンバーが完全には依存せず、かといって完全に任せきりにもしないバランスを取ります。問いや仮説の設定、分析方針の決定においても、全員が意見を出し合い、協力してタスクを進めることが望ましいでしょう。
  • 振り返り:定期的な振り返りを通じて、チームの強みや弱みを理解し、お互いを補完し合います。そうすることで、より良いコラボレーションを生み出します。プロジェクトの進行や結果だけでなく、自分たちの行動や考え方についても振り返ります。

これらのアプローチを通じて、異なる背景を持つ専門家が協力して、有効なデータ分析チームを運営することができます。

メンバー間の関係構築の方法

データ分析チームを成功に導くためには、メンバー間の良好な関係が大切です。これまでの研究によれば、異なる専門性を持つメンバーが互いに信頼し合い、協力し合うチームは、パフォーマンスが向上することが確認されています。

データ分析プロジェクトに取り組む際には、チーム内の関係性を強化することが、客観的かつ合理的な分析作業と同じくらい必要です。

良好なチーム関係を築くためには、次の5つの方法が有効です。

  • 積極的なコミュニケーション:定期的にミーティングを開催し、メンバーが意見を自由に交換できる環境を作ります。例えば、仮説に関するブレインストーミングや、進捗報告の場を設けることで、お互いの考えや進捗を共有し、やりとりを促進します。
  • お互いの理解を深める:専門的な知識だけでなく、個人的な背景や好み、働き方や仕事の価値観なども含め、チームメンバーのことを理解します。これによって尊重と信頼が生まれます。
  • 共通の目標を設定する:チーム全体で共有できる明確な目標を設定し、それに向かって協力して取り組みましょう。目標達成に向けた一歩が踏み出された際には、貢献を認め合うことで、チームの結束力を強化します。
  • 非公式なコミュニケーションを大切にする:例えば、公式的な会議だけではなく、カジュアルな雑談の時間も設けることで、メンバー間の距離を縮めることができます。チームメンバーはお互いを人間としてより深く理解し合うことができるでしょう。
  • ポジティブフィードバックを行う:お互いの成果や貢献を認め、褒め合うことで、チーム内にポジティブな雰囲気を醸成します。そのような環境は、困難なデータ分析作業を乗り越える大きな支えとなります。

データ分析チームが機能するためには、技術的なスキルだけでなく、チームメンバー間の良好な関係性が書かせません。理解と信頼をもとにした協力体制を築くことで、チームは高いパフォーマンスを発揮します。

求められるリーダーシップスタイル

データ分析チームのリーダーシップスタイルにも注目した方が良いでしょう。データ分析チームのリーダーには、謙虚なリーダーシップを推奨します。謙虚なリーダーシップとは、自らの権力を抑え、チームメンバーと対等に接するスタイルです。

謙虚なリーダーシップを採用することで、メンバーは各々の自己実現を図りやすくなり、自由に意見を表明できるようになります。

データ分析チームのように、各メンバーが高度な専門性を持つ場合、謙虚なリーダーシップこそがメンバーの能力を最大限に引き出すのです。

謙虚なリーダーシップを実践するためには、例えば、次のような行動が推奨されます。

  • 自分の限界を認識する:リーダー自身が自らの弱点や限界を理解し、それを認めることで、信頼を築くことができます。
  • 間違いを認める:誤りを素直に認め、謝罪することで、正直さと責任感を示します。
  • メンバーの意見を価値あるものとして扱う:メンバーからのフィードバックや意見を積極的に聞き入れ、尊重します。
  • フィードバックを求める:自身の行動や意思決定に対して、メンバーからの評価を求めることで、改善の機会を得られます。
  • 成功の功績をチームに帰属させる:プロジェクトの成功はチーム全体の努力によるものとして認識し、メンバーに感謝を表します。
  • メンバーの貢献を認める:目標達成や個々の貢献に対して、ポジティブなフィードバックを提供します。
  • 感謝を示す:日頃の仕事に対する感謝を表現することで、メンバーのモチベーションを高めます。

謙虚なリーダーシップは、データ分析チームにおいて、メンバーが自主的に貢献し、チームとしての成果を最大化するための鍵となります。リーダーがこのスタイルを採用することで、メンバー間の信頼が深まり、より良いコラボレーションが実現することでしょう。

スモールウィンを得るために

データ分析チームが目標に向かって前進する際には、チーム全体の自信が重要となります。メンバー全員が「自分たちならできる」という信念を共有していると、成果を上げることができるのです。

この自信を築くために、初期段階での小さな成功体験が有効です。これをスモールウィンと呼び、チームのモチベーションを高め、自信を育むことに結びつきます。

スモールウィンを達成するために、例えば、次のような取り組みをしてみてはいかがでしょうか。

  • タスクの細分化:大規模なプロジェクトを小さなタスクに分け、それぞれに焦点を当てて取り組みます。そのことで、早期に成果を出すことが可能になり、チームは進捗を実感しやすくなります。
  • 定期的なミーティング:短時間で頻繁に行うミーティングを通じて、進捗状況や今日の目標、遭遇した課題などを共有します。スモールウィンへの道筋が明確になります。
  • 成果の共有と称賛:小さな成果をチームで共有し、それを称えることで、チームの連帯感とモチベーションを高めます。ポジティブフィードバックが、さらなる成果への動機付けとなります。
  • 進捗管理の工夫:タスク管理ツールを活用して、進捗を「todo」「doing」「done」といった形で可視化し、チーム全体での進捗状況を把握します。スモールウィンの達成感を具体的に感じることができます。
  • 時間管理の徹底:作業と休憩時間を区切り、集中力を維持しましょう。効率的にタスクを進め、早期に成果を出すことができます。
  • 責任の明確化:チーム内での役割と責任を明らかにすることで、誰が何を担当するのかが分かります。このことは、スムーズなタスク遂行を可能にします。
  • 即時フィードバック:タスクが完了した際には、すぐにフィードバックを行い、ポジティブな学習体験を促します。チームメンバーは次のステップに向けて自信を持って取り組むことができます。

これらのアプローチを通じて早期に成果を出し、チームとしての自信を築きましょう。小さな成功体験を積み重ねることで、チームは大きな目標に向かって進んでいけます。

Q&A

Q:メンバーが他の仕事と兼務の場合、どのような注意点がありますか?

役割と責任を明確にすることが大事です。誰がどのタスクをいつまでに行うかを定め、それぞれの責任を共有します。ここにおいては、プロジェクトマネジャーが主導する必要があると思います。

Q:社内でデータアナリストとして活躍できる人材を見つけるには、どの部門を探せば良いですか?

データ分析を行っている部門が直接的な候補となります。マーケティングリサーチ、品質管理、システム部門などには、データ分析に携わっている人材がいるかもしれません。探してみてください。

Q:データ分析チームを立ち上げる際、最初に取り組むべきことは何ですか?

チームビルディングと問いの列挙です。チームメンバーが互いの特性や専門性を理解しつつ、同時に、データ分析における問いをたくさん挙げていくことが第一歩です。特に問いを挙げておくと、後から便利です。

Q:データ分析の結果を社内で納得してもらうためには、どのようなアプローチが効果的ですか?

結果のプレゼンテーションに際して、聞き手に事前に仮説を考えてもらいましょう。結果を伝える際には、クイズ形式でヒントを出すなど、聞き手が知的好奇心を持って受け止められるよう工夫するのも一策です。そうしたことが、結果に対する納得感を高めることにつながります。

Q: データ分析チームは何人で構成するのが理想的ですか?

データ分析チームを立ち上げる際に限定して回答します。初期段階では少人数からスタートすることをおすすめします。理由としては、チーム内の関係者が多くなると、意思決定に時間がかかり、スムーズな進行が難しくなるからです。

初期には、スモールウィンを重ねながらテンポ良く進めることが重要です。そのため、最低限必要な役割を担うことができる人数、例えばデータアナリスト、ドメインエキスパート、プロジェクトマネジャーを備えた2~3人でのスタートにします。チームを拡大する際には、各メンバーの役割と責任を明確にすることを忘れないようにしましょう。

Q:データ分析の必要性を社内で理解してもらうにはどうすれば良いですか?

このご質問は重要ではありますが、残念ながら、一言で納得してもらえるような魔法の言葉は存在しません。しかし、データ分析の重要性やメリット、分析を行わないことのデメリットを伝えるための説明レパートリーを豊富に持つことが有用です。

私が最近ビジネスリサーチラボのコーポレートサイトに寄稿したコラムにおいて、データ分析や組織サーベイの意義について幅広く論じています。コラムを読むことで、データ分析の価値を伝えるための理論武装が可能になるかもしれません。ご参照ください。


登壇者

伊達 洋駆 株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役
神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。著書に『60分でわかる!心理的安全性 超入門』(技術評論社)や『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』(すばる舎)、『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)などがある。2022年に「日本の人事部 HRアワード2022」書籍部門 最優秀賞を受賞。

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