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コラム

ワークライフバランスの科学:ワークとライフを分離したい人、統合したい人(セミナーレポート)

コラムセミナー・研修

ビジネスリサーチラボでは、2022621日に、オンラインセミナー「ワークライフバランスの科学:ワークとライフを分離したい人、統合したい人」を開催しました。

ワークライフバランスを推進しようとする企業が増えています。しかし、施策を行っても上手くいかないという声も聞こえてきます。どうすれば従業員のワークライフバランスを推進できるのでしょうか。

セミナーでは、研究知見に基づき、ワークライフバランスを推進するためのポイントについて解説しました。前半は、ビジネスリサーチラボ 代表取締役の伊達洋駆より、仕事と家庭の葛藤を防ぐ方法について、後半は、ビジネスリサーチラボ フェローの小田切岳士より、ワークライフバランス施策の成果に影響しうる「個人の好み」について紹介しています。

本レポートはセミナーの内容を基に編集・再構成したものです。

登壇者

伊達洋駆
株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役。神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。著書に『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』(すばる舎)や『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

小田切岳士
株式会社ビジネスリサーチラボ フェロー。同志社大学心理学部卒業、京都文教大学大学院臨床心理学研究科博士課程(前期)修了。修士(臨床心理学)。公認心理師、臨床心理士。働く個人を対象にカウンセラーとしてのキャリアをスタートした後、現在は主な対象を企業や組織とし、臨床心理学や産業・組織心理学の知見をベースに経営学の観点を加えた「個人が健康に働き組織が活性化する」ための実践を行っている。特に、改正労働安全衛生法による「ストレスチェック」の集団分析結果に基づく職場環境改善コンサルティングや、職場活性化ワークショップの企画・ファシリテーションなどを多数実施している。


 

ワークライフバランスを考える手がかり:ワーク・ファミリー・コンフリクト 

伊達:

ワーク・ファミリー・コンフリクト(仕事―家庭間葛藤)は、「組織からの要求が家庭における個人の達成を阻害し、家庭からの要求が組織における個人の達成を阻害すること」と学術的に定義されています。

たとえば、次の文章について「当てはまる」と感じるほど、ワーク・ファミリー・コンフリクトが高い状態です。

 図 1:ワーク・ファミリー・コンフリクトの質問項目

より具体的には、子どもが熱を出したとき、仕事を中断して迎えに行かなければならない。仕事で疲れきってしまい、家事をやる気力がない。家族の介護をしなければならず、翌日、職場で眠気が止まらない。このような状態が、ワーク・ファミリー・コンフリクトが生じている状態です。

ワーク・ファミリー・コンフリクトは、ワークとライフで相互に悪影響を及ぼし合うため、低減させていく方が良いでしょう。今回は、ワーク・ファミリー・コンフリクトを促す要因を知ることで、それを低減する対策を考えていきます。

ワーク・ファミリー・コンフリクトを促す仕事領域の要因として、たとえば図2のようなものが実証されています。労働時間が長かったり、仕事で上司や同僚などからサポートが得られなかったり、自分で仕事の進め方を決定できないなど、スケジュールの柔軟性がなかったりするほど、ワーク・ファミリー・コンフリクトが高まるのです。

図 2:ワーク・ファミリー・コンフリクトを促す仕事領域の要因

また、次のように、仕事領域ではない要因も、ワーク・ファミリー・コンフリクトを高めることが分かっています。

図 3:ワーク・ファミリー・コンフリクトを促す非仕事領域の要因

ワーク・ファミリー・コンフリクトへの対策例 

仕事以外の要因については、会社が介入することは困難です。今回は、仕事領域の要因に焦点を絞って対策を考えましょう。

1点目の労働時間への対策としては、働き方改革を進め、残業時間を抑制し、長時間労働を是正していくことが考えられます。

2点目の仕事上のサポートに関する対策としては、職場におけるお互いの仕事の状況を把握できるようにすると良いでしょう。仕事が忙しかったり、困っていたりといったことを把握する。その上で、必要な助けを提供し合える職場づくりが重要です。

3点目のスケジュールの柔軟性への対策としては、仕事のプロセスを細かく管理せず、進め方を任せていくことが考えられます。 

実は、23点目の対策は、生き生きと、熱意を持ち、没頭して働いている状態を指す、ワークエンゲージメントを促す要因と共通しています。ワークライフバランス豊かな環境をつくることは、ワークエンゲージメントにも効果的なのです。

これらは、あくまで会社全体としての対策です。一方で、ワークライフバランスには個人差も影響します。たとえば、会社全体として労働時間を短くしたとします。それを歓迎する従業員もいれば、もっと働きたいと思う人もいるのです。

ワークライフバランス施策の有効性を高めていく上で、個々人の好みなどの個人差に注目することが重要です。小田切さんのパートでは、個人差について解説します。

ワークライフバランスで「個人の好み」を考える意義 

小田切:

たとえば、従業員のワークライフバランスを高めるため、勤務時間外の業務連絡を禁止するとルール化した企業があったとします。

それに対し、Aさんは、「家で仕事のことを考えなくて済むから満足」と感じました。ところがBさんは、「ちょっとした連絡が取りづらくなり不満」と感じてしまいました。ワークライフバランスを高めるための施策を、人によってはネガティブに受け取る可能性があるのです。

図 4:ワークライフバランス施策で生じる問題

 受け取り方に差が生じた理由は何でしょうか。AさんとBさんの間に、「ワークとライフの分け方の好み」に関する個人差があったからかもしれません。

Aさんは、「ワークとライフは分けたい」という好みを持っていたため、業務時間外の連絡禁止に満足しました。他方でBさんは、「ワークとライフは分けたくない、混ぜたい」という好みを持っていたため、不満を抱いたと考えられます。

図 5:ワークとライフの分け方の好みの影響

 学術研究でも同様の議論があります。ワーク・ファミリー・コンフリクトは、環境だけでなく本人の好みなども影響しているのではないか。本人の好みと実際の環境が合っているかも、ワーク・ファミリー・コンフリクトに影響するのではないか。このような指摘がなされているのです。 

なぜ、ワークライフバランスについて考える上で、個人の好みを考慮する必要があるのか。それは、実際のワークライフバランスとは別に、「ワークとライフの分け方の好み」が存在するからです。

そのため、実際のワークライフバランスを考える前に、「どのようにワークとライフを分けたいか」の好みを知る必要があり、本人の好みと実際の環境がどれだけ合っているのか考えなければなりません。

セグメンテーション・プリファレンスとは

ワークとライフの分け方の好みに該当する概念として、「セグメンテーション・プリファレンス」があります。セグメンテーション・プリファレンスは、「ワークとライフがお互いに分離されていることを個人が好む程度」と学術的に定義されています。

今回の講演内では、セグメンテーション・プリファレンスが高い人を、「分離好き」と呼ぶこととします。分離好きの人とは、ワークとライフをできるだけ分けたい人を指します。他方で、セグメンテーション・プリファレンスが低い人を「統合好き」と呼ぶことにします。統合好きの人とは、ワークとライフを分けたくない人です。

分離好きの特徴として、プライベートの時間で仕事のことを考えない、または仕事中にプライベートのことは考えないというものがあります。行動面でも、カレンダーや手帳を、仕事用とプライベート用で分ける傾向もあるとされています。 

一方、統合好きは、プライベートでも仕事のことを考えますし、仕事中にもプライベートのことを考えます。たとえば、オフィスのデスクに家族の写真を飾ったり、自宅の鍵とオフィスの鍵を、同じキーリングにまとめて管理したりする傾向があるのです。 

セグメンテーション・プリファレンスの程度を測る質問として、たとえば次の項目があります。これらが当てはまるほど分離好き、当てはまらないほど統合好きです。

図 6:セグメンテーション・プリファレンスの質問項目

セグメンテーション・プリファレンスの影響

(1)研究知見:個人の好みと実際の環境が合っているほど良い

研究知見では、本人の好みと、実際の環境が合っていると良いことが実証されています(図7)。分離好きに合う環境例として、「業務の開始・終了時間を本人がコントロールできる」ことが挙げられます。このような環境であれば、分離好きの人は、ワークライフバランス満足度(現在のワークライフバランスで満足しているか)が、より高いことが分かっているのです。 

統合好きに合う環境例としては、「勤務時間外に仕事関係のコミュニケーションが発生する」ことが挙げられます。そのような環境であったとしても、統合好きの人は、ワーク・ファミリー・コンフリクトが高まりにくいことが明らかになっています。

注意点として、統合好きだからといって、勤務時間外の仕事関係のコミュニケーションを増やせばコンフリクトが下がる、ということではありません。

(2)実態調査:好みに加え、テレワーク/オフィスワークかによっても、合う環境が異なる 

以上の研究知見に加え、20219月、ビジネスリサーチラボが全国のテレワーカー・オフィスワーカー472名を対象にした、実態調査の結果をご紹介します。テレワーカーとオフィスワーカーの分類基準として、「20217月から回答時点にかけて、あなたはテレワークを活用して働いていましたか」という質問に、「はい」と回答した方をテレワーカー、「いいえ」と回答した方をオフィスワーカーとしました。

調査の結果として、主に2つのことが分かりました。

1つ目は、「分離好きなオフィスワーカーほど、ワーク・ファミリー・コンフリクトが高い」ということです。これは、好みと環境が合っていないことから生じた結果と考えられます。

オフィスワーカーは、好みにかかわらず、実際にはワークとライフを分けにくい環境に置かれています。ワークとライフを分けたいと望んでいても、たとえば、「子どもが風邪をひいたため、早退して対応する」ということは、起こり得る状況です。

特に分離好きなオフィスワーカーの方であるほど、分けたいという理想と、分けにくい現実のギャップが大きくなってしまうのです。

この結果から考えると、コロナ禍以前の日本企業で前提とされていた、オフィスワークや出社という仕組みは、そもそも分離好きの人には合わず、統合好きに合っていた環境だったと言えるのかもしれません。

ワークライフバランスを推進しようとする際は、新たな施策を導入しようとする前に、自社の既存の環境や仕組みが、分離好き・統合好きのどちらに合ったものなのか、どちらかを排除していないかを考えることをお勧めします。

2点目は、「オフィスワーカーと統合好きテレワーカー/分離好きテレワーカーで、ワーク・ファミリー・コンフリクトを減らす環境が異なる」ということです。

分離好き・統合好きを含めた全てのオフィスワーカーと、統合好きテレワーカーは、「同僚コミュニケーションの質」「組織サポートが高い」ほど、ワーク・ファミリー・コンフリクトが減少することが分かりました。 

同僚から適切なタイミングで正確な返答があるほど、また組織が自分を支援してくれていると従業員が感じられるほど、仕事と家庭の間での葛藤が減るのです。

図 7:オフィスワーカー・統合好きテレワーカーのコンフリクトを低減する要因

 一方で、同僚コミュニケーションの質や組織サポートは、分離好きテレワーカーのコンフリクトを低減しないことも分かりました。では、どのような環境や支援が必要なのでしょうか。

分析の結果、分離好きテレワーカーは、バーチャリティの「同期性」「情報の価値」がコンフリクトを低減することが明らかとなりました。

同期性とは、仕事で利用する様々なオンラインツールによって、コミュニケーションが高速化している感覚を指します。情報の価値とは、オンラインツールは重要で、仕事が効率化されている感覚です。これらの感覚が強いほど、コンフリクトを抱えにくくなるのです。この結果から、分離好きテレワーカーに対しては、特にツール面での支援が重要であると考えられます。

図 8:分離好きテレワーカーのコンフリクトを低減する要因

 なお、同僚コミュニケーションの質や組織サポートが、分離好きテレワーカーのコンフリクトを高めてしまったり、同期性や情報の価値が、オフィスワーカー・統合好きテレワーカーのコンフリクトを高めてしまったりすることはありませんでした。いずれの要素に関しても全体的に充実させると良いでしょう。

ワークライフバランスを推進するために必要なアクション

必要なアクションとして、大きく二つのステップがあります。

1ステップは「従業員個々人の好みを知る」です。上司が部下の好みを知りたい、または限定された数名のことを知りたい場合は、個人にインタビューしましょう。会社全体における従業員の好みを知りたいのであれば、組織サーベイも利用できます。 

個々人の好みを知るというプロセスは、組織や人事が従業員の好みを把握することに加え、従業員自身が、自分の好みや理想のワークライフバランスについて考えるきっかけにもなるため、有用です。

2ステップは「好み―環境」を合わせることです。合わせていく際、考慮すべきセグメンテーション・プリファレンスの特徴が2つあります。

1点目は、「個人の好みである」こと。個人の好みに、組織が介入することはあまり適切ではないでしょう。社会倫理的に好ましいとは言えませんし、そもそも外部圧力によって容易に変化するものでもありません。大前提としては、個人の好みに合う環境を整備していくことになります。

2点目は「経時的・偶発的な変化がありうる」こと。1年ごと、季節ごと、日ごとに変わる可能性もありますし、年齢やキャリア、ライフステージで変わる可能性もあります。よって、従業員それぞれが、その時々の好みに合う仕組みを選ぶことができるよう、多種多様に整備することが必要です。

または、ある一つの施策を行う際、分離好きと統合好きの双方に合うよう、内容を調整すると良いでしょう。たとえば、冒頭に例示した「勤務時間外の業務連絡の禁止」に対するアプローチ例として、「送信は問題ないが、返信は必須としない」といったことが考えられます。「送信は問題ない」の部分は統合好きに合っており、「返信は必須としない」は分離好きに合っています。

 

図 9:分離好き・統合好きの双方を考慮したアプローチ例

 ワークライフバランスについて考える上で、はじめの一歩として、次の3点お願いできればと思います。

1点目は、「自分自身が分離好きなのか、統合好きなのか。自分の理想とするワークライフバランスはどのようなものか考える」こと。2点目は、「現在の働き方が、自分の好みや理想に合っているかを考える」こと。3点目は、「自社の環境が、分離好き・統合好きのどちらに合っているのかを考える」ことです。

Q&A

Q1. 日本の中では、分離好きと統合好き、どちらのほうが多いのでしょうか

小田切:

先ほどのビジネスリサーチラボの実態調査では、分離好きが多いことが分かっています。その結果から考えると、これまでの日本企業における、出社を前提とした働き方は、多くの人に合っていない環境だったと言えるかもしれません。

Q2.非仕事領域の内容に関して、会社が関わる手段はありますか

 伊達:

従業員のプライベートまで管理し始めるといき過ぎですが、たとえばファミリーフレンドリー制度や、働き方・働く場を選べるような制度を導入すれば、非仕事領域においても柔軟性が高まるため、ワーク・ファミリー・コンフリクトも低減できると考えられます。 

Q3.個人の好みをサーベイや個人面談で調査した場合、その内容の真偽を確定する手段はありますか 

小田切:

サーベイについて、「しっかり質問内容を読んで回答しているか」については、質問項目の設計で対応できます。たとえばセグメンテーション・プリファレンスの質問項目の間に、「この質問では一番右に丸をつけてください」とすることで、内容をしっかり読んで回答してくれているか判断することができます。

もう一つの観点として、サーベイにおける回答の質の高低、本音の回答かどうかは、サーベイを行う以前に決まっていると言われています。たとえば、日頃から従業員に対し、「会社は、あなたの幸福やワークライフバランスについて考えています」とメッセージを発信し、施策を実践するべきでしょう。サーベイを行う際にも、「回答結果を人事評価に使ったり、あなたが不利益を被ったりすることはありません」と明確に伝えていくことが重要です。

別のアイデアとして、通常の組織サーベイではあまりないかもしれませんが、「個人結果」をフィードバックすると良いかもしれません。自分自身が自分の好みを知ることができるなどの利益を感じてもらえれば、本音の回答につながると考えられます。

伊達:

小田切さんのパートでもあったように、カレンダーを仕事用・プライベート用で分けているかなど、客観的な行動と照合するのも良さそうです。また、好みは変わるものなので、変化を許容することも重要です。1年前に分離好きと答えたら、一生分離好きと答えないといけないわけではありません。

なお、厳密な測定を行うための方法について解説した、ビジネスリサーチラボのコラムがあります。ご関心がある方はぜひ読んでみてください。 

Q4.ワーク・ライフ・コンフリクトが高い従業員の場合、離職やパフォーマンスの低下が想像できますが、具体的なネガティブな影響を教えていただきたいです

小田切: 

たとえば、従業員のメンタルヘルスに悪影響があります。コンフリクトを抱えていると感情的に疲弊し、離職や休職のリスクも高まります。

Q5.サーベイを行う際、効果的な質問形式や内容などがあれば知りたいです

伊達:

ワークライフバランスがどのような状態であれば、自社や社員にとって良い状態なのか、ゴールを明らかにすることから始めましょう。その上で、ワークライフバランスに影響する要因や、セグメンテーション・プリファレンスを測定することをお勧めします。

小田切:

ゴールの考え方ですが、日本におけるワークライフバランスの定義の一つに、内閣府男女共同参画会議が提唱したものがあります。そこではワークライフバランスを、「誰もが、仕事、家庭生活、地域活動、個人の自己啓発など、様々な活動を自分の希望するバランスで実現できる状態」と定義しています。 

このような定義をアイデアとして参照しつつ、自社なりのゴールを設定できると良いかもしれません。 

また、具体的な質問項目としては、理想のワークライフバランスがどのような割合か、実際のバランスは今どうなっているかなど、理想と現実を尋ねるのも有効と考えられます。

様々な側面に対する好みがある可能性

伊達:

興味深いご感想をいただきました。「私個人の感覚では、休日であっても、企画や調べもののために会社のデータベースにアクセスしたいと思いますし、仕事の考え事をしていることは多いです。一方で、休日まで上司から追いかけられたくないと思うので、制度としては分離になっていたほうが安心です」とのことです。 

小田切:

セグメンテーション・プリファレンスは、ワークとライフをそれぞれ大きくまとめた上で、お互いをどれだけ分けたいかを指す概念です。ただ、実作業や、アイデアを考える面では統合されていて良いものの、上司や職場の方とのコミュニケーション面では分離したいこともあるでしょう。様々な側面に対する好みがあると考えさせられました。 

伊達:

誰が主導しているかも重要と考えられます。たとえばサーベイの結果、自社には統合好きが多いことが明らかになったとします。その結果を基に、会社が従業員の生活に介入していく場合、会社主導ということになります。一方で、自分が統合好きか分離好きかに合わせて、自分自身で選択していくという個人主導の考え方もあります。

いただいたご感想は、個人主導であることが重要と解釈できます。個人主導を重視する従業員が多いのであれば、会社主導で物事を進めようとしても上手くいかないでしょう。

おわりに

伊達:

これで、全てのご質問に答えられました。最後に、小田切さんから一言お願いします。

小田切:

元々の専門領域が臨床心理学やメンタルヘルスということもあり、セグメンテーション・プリファレンスという、個人を捉えた概念に関心を強く持っていました。個人の好みについて考えることは、ワークライフバランスにおける支援や施策の有効性を高めることに繋がります。まずは皆さんご自身の好みを考えることから始めていただければと思います。

本日お話しした内容に関連するコラムが、ビジネスリサーチラボのHPに掲載されています。ご関心ある方はぜひご一読ください。

伊達:

ワークライフバランスは、一律的な対応と個別対応のどちらかに二極化しやすい問題です。完全な個別対応は出来なくとも、タイプ分けできると、実現可能性が高まります。タイプ分けの一つの軸として、セグメンテーション・プリファレンスは有用ですね。 

以上で本日は終了です。ありがとうございました。

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