新刊『オンライン採用 新時代と自社にフィットした人材の求め方』の「はじめに」を公開しました

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役の伊達洋駆は新刊オンライン採用 新時代と自社にフィットした人材の求め方』(日本能率協会マネジメントセンター)を出版しました。


出版社の許可を得て、本書より「はじめに」を抜粋して公開します。



はじめに

2020年、私たちは予想だにしない出来事に見舞われました。新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延です。感染拡大するウイルスに世界は恐怖に包まれ、外出を伴う様々な動きがストップしました。その中で急速に広まったのが、オンラインのコミュニケーションです。
 集まることができない私たちは、ZoomやTeamsなどインターネットの会議システム、あるいはSNSのチャットサービスやメールなども活用して、相手との繋がりを維持しようとしました。当初は多くの人々がこれらを「いっときの代替品」と捉えていたかもしれませんが、感染症流行のはじまりから半年が過ぎ、そして1年が経つ頃には、もはやなくてはならないツールとなりました。
 この流れはビジネス全般、特に本著の主題である「採用」の現場にも起こりました。これまで日本では、説明会も面接もすべてが「対面」を前提に作られていました。しかし、現在はその実施が難しい。そこで多くの企業で採られたのが、オンラインでの説明会であり、面接でした。

 自己紹介が遅くなりましたが、私はビジネスリサーチラボ代表取締役の伊達洋駆と申します。弊社は、学術研究や定量・定性分析から得た知見を実務に生かしたいと考えて立ち上げた会社です。採用、エンゲージメント、キャリアなど、人と組織に関わる幅広いテーマを手掛けています。「研究と実務の融合」を目指してきた私たちに迫られた、今回の採用現場の急展開。待ったなしの状況に、多くの採用担当者の方々から、「これからどうすればよいのか」という悲痛な声が寄せられています。

「私たちにできることはなにか」
 採用現場で日々奮闘している採用担当者の方々へ「〝これまで〟の知見から見える、〝これから〟の採用」を伝えることが大事だと考えるに至りました。弊社は、研究と実務を融合させる活動から生まれたサービスを、「アカデミックリサーチ」というコンセプトで提供しています。本著もアカデミックリサーチの文脈から生まれた、採用担当者の目前の「実務に生きる一冊」です。
 すでにコロナ禍におけるオンライン採用をスタートしている企業も多い一方で、「これでよいのだろうか」「以前のようにはいかないな……」と戸惑っている方もいます。
 その戸惑いの感覚こそが正しく、対面とオンラインでは得られる効果は大きく異なるのです。「対面ができないからオンラインにすればよい」と、いつまでも一時しのぎとして利用していると、採用につまずきかねません。

 実は、オンラインが対面と比べて、全ての点において劣っているわけではありません。例えば、オンラインでの対話は情報伝達には優れた機能をもつことが実証されています。語られた内容を正確に把握する際には、非常に適したツールなのです。
 では、なぜ私たちはオンラインでの対話に不満を抱くのでしょう。それは、「明るい」「きっちりしている」「楽しそう」といった雰囲気で感じ取れる人間の感触、すなわち「非言語的手がかり」が得られにくいからです。また、相手のことが「理解できた感覚」もオンラインの方が少ないことがわかっています。ヒトのコミュニケーションは、「文字や言葉のみで情報をやりとりしているわけではない」のです。
 採用担当者にとって今は、目の前の業務に追われながらも新たな採用の企画を練っていかなければならない、大変な時期です。ミスなくオペレーションを回しながら、創造性を発揮して企画を検討していく。そのためには、思考の切り替えも必要でしょう。

「大変」と言ってしまいましたが、ある意味で今の状況は「チャンス」になりえます。これからは、オンラインと対面の両方を用いた「ハイブリッド採用」へと進むはずです。多くの企業が、「1次面接はオンラインにしよう」「社長による最終面接は対面で」など、オンラインと対面を組み合わせた採用の企画を練っていきます。
 そこにおいては、「本当にこのタイミングはオンライン面接でよいのか」「なぜここでは対面がよいのだろうか」など、採用の本質に立ち返って考えることが求められます。さらには、「どのような人材がほしいのか」「どのような手段を講じるか」「面接ではどのような質問が必要か」なども考える必要が出てきます。このように、今回のオンライン採用の普及は、自社にふさわしい採用を改めて構築するチャンスなのです。

 本著は、深いレベルでの採用の見直しと、目の前の「面接をどうするか」「説明会をどう開催するか」といった実務面の両方を取り扱います。
 第1章では、ビフォアコロナからウィズコロナで変わること・変わらないことを概説します。
 第2章は、人材の集め方についてお伝えします。説明会の開催方法といった具体的な視点から、「なぜ人を集めなければならないのか」についても考えたいと思います。
 第3章は、書類選考や面接などの選考がテーマです。オンライン化により、現場で大きな戸惑いが生まれている部分です。「なぜ実施するのか」「どう実施するのか」など、本質論にはじまり明日から実務に生きる内容まで記しています。
 第4章は、候補者や内定者に対するフォローについて扱います。オンライン化により、候補者のフォローはどう変わるのかをお伝えします。
 第5章は、やや視点を変えて、採用チーム(採用担当者同士や他部署の関係者との連携)の変化を取り上げます。対候補者だけでなく、対チームメンバーにおいても、オンライン化の波は押し寄せています。採用はチームで様々な連携を図りながら進めるものです。オフィスで「ちょっとした雑談」ができた頃のほうが楽だったな……と感じている方もいることでしょう。オンライン化に苦心する方々にも参考になる、これからの採用チームに求められるポイントをまとめています。
 最後の第6章では、採用活動と密接にかかわる雇用の問題について触れました。雇用の話には、企業の外で人材が移動する外部労働市場(雇用状況)と、各企業の中で独自に運営されている内部労働市場(雇用システム)が関係しています。採用は2つの労働市場をつなぐ活動です。採用担当者は両者の動向を適切に捉える必要があります。
 これまでは、こうした労働市場をめぐる状況について意識しなくてもよかったのかもしれません。しかし、コロナ禍の影響により、外部労働市場が揺れ動いています。また、内部労働市場についてもジョブ型雇用をはじめとした議論が白熱しています。こうした動向についてぜひ知っておいてほしいトピックを解説します。
 これらの章は独立しています。第1章から順番にお読みいただいても、第2章や第3章など現在お悩みのテーマから開いていただいても大丈夫です。

 誰もが経験したことのない現在、そして〝これから〟を、私たちはどのように歩んでいけばよいのか。今お伝えできるすべてのことを込めて執筆しました。この強力で大規模な変化に対して、抗うでもなく、打ちひしがれるでもなく、しなやかに、創造的に挑んでほしい。そう私は願っています。本著がみなさんの背中を押す一助となれば幸いです。

20211
株式会社ビジネスリサーチラボ
代表取締役 伊達洋駆



新刊『オンライン採用』について

採用のオンライン化が加速する中で、

・従前の対面を前提とした採用活動とオンライン採用の違い、

・どのような点に気を付ければよいのか、

・対面とオンラインをハイブリッドさせた採用の在り方 

等、これからの採用活動を検討する上で必要なエッセンスを網羅した1冊です。


オンライン採用 新時代と自社にフィットした人材の求め方

 (日本能率協会マネジメントセンター)

株式会社ビジネスリサーチラボについて

企業人事をクライアントに、「アカデミックリサーチ」をコンセプトとした組織サーベイや人事データ分析を提供しています。

本件に関するお問合わせ

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